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【report #161】KUMAMOTO STARTUP NIGHT 2024

2/15(木)にCIC Tokyoにて『KUMAMOTO STARTUP NIGHT 2024』を開催🎉

昨年、300人以上が集まり繋がった「KUMAMOTO STARTUP NIGHT」が今年も帰ってきました!今回はKuamamoto City Pitchも同時開催し、多くの参加者にご来場いただきました✨

本レポートでは、熊本をテーマに多くの参加者が集まった、熱気ある当日の様子をお伝えしていきます🔥

PVはこちらから!

16:00 – 16:20 KUMAMOTO STARTUP NIGHTの楽しみ方

まずはVenture Café Tokyo プログラムディレクターの小村隆祐から、KUMAMOTO STARTUP NIGHTの楽しみ方を紹介。参加者に緊張をほぐしてほしいと、参加の心構えやネットワーキングのコツを実演も交えつつ紹介しました。

16:20 – 16:30 info: 熊本市スタートアップ支援施策紹介

熊本市 経済観光局産業部、起業・新産業支援課主任の瀧石大聖さんから、熊本市が行っているスタートアップエコシステムの構築施策についてお話しいただきました!
熊本市では、①起業家・支援者コミュニティ創設、②起業家の発掘・育成強化、③産学官連携強化、④起業家の誘致・自治体連携強化という4つの施策を行っています。その施策の1つとして、人々の繋がれる場所であるXOSS POINT. を立ち上げたとのこと。

また熊本独自のアクセラレーションプログラムを通じて講演やメンタリングを行い、学生も巻き込みつつ起業に向けた知識をインプットできる機会の創出、海外展開する企業向けプログラム採択に向けた伴走支援、熊本市を対象にした実証実験募集など、ステークホルダーを巻き込み単発で終わらない様々な施策について紹介しました。

16:40 – 17:20 Keynote: 熊本からイノベーションを巻き起こす

キーノートセッションでは株式会社ウェイビー 代表取締役 兼 徳島大学客員教授の伊藤健太さんにご登壇いただき、熊本からイノベーションを起こすための弱点や強みをお話しいただきました!

伊藤さんは1年前横浜から熊本に移住してきた経験から、外部者ならではの視点で熊本市の持つ魅力と課題を感じたそう。
熊本のスタートアップを今後盛り上げていくために必要なのはIPOではなくM&Aとのことで、エグジットの経験を持つ人を増やすことで、エコシステムづくりに必要な基準を持っている人を増やしていく事が大事だといいます。

また地方で事業を行う上で必要なこととして、地方以外の軸を持つこととお話しされていました。地方以外に軸があることで、地元に忖度せずにパワーを発揮でき地方の課題を突破できるからです。
グローバル展開にあたっては、まずはどこかの国に狙いを定め、ネットワークをつくりきってから関係人口づくりをしていくのが効果的とのこと。熊本市であれば地の利や元々のネットワークを生かしつつエンジンをつくっていけるのではないかとのことでした。

熊本市の大西一史市長とのクロストークでは、今後の熊本を盛り上げるために内部/外部両方の視点から、お2人の熱い想いをお話しいただきました!

大西市長も伊藤さんの話に共感するところが多かった様子。
特に企業が熊本市だけに軸を置かないよう、熊本がスタートアップにとって良いと印象付けられるような取り組みを行いつつ、東京の企業も巻き込んでいきたいと考えているそうです。
また熊本は台湾高雄市と姉妹都市協定を結んでいますが、実はアメリカやドイツにも姉妹都市があり、国際的なネットワークを築きやすいポテンシャルはあると感じているとのこと。
市長自身も積極的に人を繋げるなど、行政も含めたネットワーキングを行いやすい事が熊本の利点ではないかといいます。

17:00 – 17:30 Panel Discussion: 爆速成長を続けるためにアクセラを使いこなす

続いて、有限責任監査法人トーマツ 監査・保証事業本部 西日本事業部 西日本アドバイザリー マネジャーの田島大地さん、やまがBASE株式会社 代表取締役CEOの中原 功寛さんより熊本市のアクセラレーションプログラム「HIGO CANVAS」についてお話しいただきました。
HIGO CANVASは地域一帯となって起業家の支援を行うプログラムで、田島さんは企画・運営に立ち上げ当初から携わる一人、中原さんはUターンし農業関連の事業を立ち上げたプログラム1期生とのことです。

パネルディスカッションでは、熊本市全体の起業支援への姿勢やプログラムの特徴などについてお話しいただきました。
中原さんはHIGO CANVASに参加し、孤独の解消や仕事上の出会いに繋がったことに価値があり、特に、熊本市という行政が行うからこそ得ることのできるネットワークが、立ち上げの段階で重要だと感じたと言います。

17:30 – 18:30 Kumamoto City Pitch 1st-half

KUMAMOTO CITY PICH 1st-Halfでは、オープンスペースにて熊本で起業した5名の登壇者にピッチいただきました。
まず、ANNAK代表の漢那圭広さんからピッチ化粧品業界に勤めていた際、業界内でコストの理由から工場でのロボット導入が進まないことに課題を感じていた漢那さん。そこで、中古産業ロボットを買取、AIを搭載し付加価値を高めて販売することで、従来の1/3の価格という低コストで導入できるロボットの販売を目指しています。

続いて、Tooon株式会社代表取締役の杉山裕磨さんから、フリーランス向けツールについてのピッチ。杉山さんはフリーランスが委託先への事務処理を行う際、その複雑さにより時間が割かれてしまう事を課題と感じ、フリーランスやアーティストの個の力を社会貢献に接続していくためのフリーランス向けオールインワンツールを開発しました。このサービスが浸透することで、IT 人材の地方移住が進むのではないかとも考えているようです。

株式会社ふく成  取締役の平尾有希さんからは「水産養殖と外食産業の未来について」というタイトルでピッチいただきました。平尾さんは「子供達の未来に食をつなぐ」をテーマに会社を運営しており、祖父の代から続く養殖漁業への取り組みの中で、新たに独自の鮮度保持技術”firesh”を開発しました。freshの魚は鮮魚より旨みとコクを向上させる冷凍方法としてふるさと納税の対象品にもなるなど、現在導入が急増しているとのこと。

株式会社P&A 代表取締役社長の中畑敏哉さんからは、ご自身が取り扱われている微細藻類の培養技術や、社会的な影響についてピッチいただきました。現在、崇城大学の修士課程に在籍しつつバイオの研究を行う中畑さん。バイオ燃料、水産飼料、健康食品といった幅広い用途に利用される微細藻類を、独自の特許技術で培養・販売しているそうです。将来的に、有明のりといった食品産業やブルーカーボン分野への販売も展望にあると言います。

エシカルプロダクツ株式会社 代表取締役の永井香織さんからのピッチは、自社製品である様々な液体を包めるゲル食材についてでした。会社理念として「世界中の人を食を通して幸せにしたい」を掲げ、用途を限定せず誰でも加工ができるゲル食材を開発しています。具体的には、ビーガンでも食べられる動物性原料を使わずに作ったいくら、食べる食物繊維サプリなどに利用されています。

コメンテーターにはワンドロップス株式会社 代表取締役社長村重亮さん、レオス・キャピタルパートナーズ株式会社の竹山将志さんをお招きしました。登壇者の視点をさらにクリアにするような深掘りや、見ている人々により効果的にビジョンを伝えるための改善点などをコメントいただきました!

 17:40 – 18:30 Panel Discussion: 世界を切り拓く熊本発ディープテック企業

ピッチセッションの裏ではカンファレンスルームにて、ディープテック企業についてのパネルディスカッションを行いました!
まず、心疾患の早期発見のための検査機器を開発する、AMI株式会社 International Business Leadの佐藤銀河さん、食べることが健康に繋がる成分を開発する、トイメディカル株式会社 代表取締役の竹下英徳さんより事業についてピッチいただきました。

JETRO Startup Support Program Managerの武田史織さんからは、2社が目指す海外展開についてご説明いただきました。2社はGlobal Startup Acceleration Programのバイオコースに参加し、ボストンでピッチを行ったそうです。また、佐藤さんと竹下さんからはそれぞれの企業の海外ニーズ分析や、今後進出を狙う地域についてのお話しを聞くことができました。熊本市に支援を受けながら海外販路開拓なども行っているようです。

熊本市産学連携コーディネーターの青山光一さんからは、熊本のディープテック起業支援についてお話しいただきました。熊本市では大学と企業のマッチングに向けたラウンドテーブル等のイベントを開催し、地元人の関係性構築を目指しているとのこと。結果、関係人口も増えディープテックに限らない様々な企業が参加しているとのことです。
立場の異なる4名のディスカッションから、熊本でのスタートアップの展開や支援策をより解像度高く理解することができるセッションとなりました!

各セッションの裏では、ドリンクを片手にネットワーキング会場が盛り上がりました!

18:40 – 19:40 Kumamoto City Pitch 2nd-half

オープンスペースでは、引き続きKumamoto City Pitch 2nd-halfが行われました!2nd-halfでも5名が登壇し、事業を紹介いただきました。
初めに株式会社Circulife 代表取締役の川原剛さんより、アパレルの天然繊維への転換についてピッチいただきました。アパレル産業が世界第2位の環境汚染産業となっていることに着目した川原さん。開発した天然染料は、汚染の防止だけでなく光熱費や水の節約、ひいては環境・社会・経済に好循環を生み出す素材とのことです。

株式会社コウサク 代表取締役社長の中原功寛さんからは、農業の課題や農業近代化に向けての取り組みをピッチ。農業の課題として、農業従事者の減少や耕作放棄地の増加、農業の生産性向上の必要性があるそう。ですが、課題を解決しうるAgri-Tecを知らない、または導入できない背景があります。そこで、これらの課題を解決すべく、農園経営だけでなくAgri-Tecに関する様々な事業を行われています。

続いてFREX(Freedom REvolution X)の菊池拓仁さんから、稲保全のためのジャンボタニシ誘導餌についてピッチいただきました。米の天敵である外来種、ジャンボタニシへの対策により稲作の利益率が下がっていることに着目した菊池さんは、ジャンボタニシの誘引成分を独自に発見し、それを元にジャンタニホイホイという防除製品を開発しました。ジャンボタニシはアジア圏に多く、海外での展開も見込めるということでした。

株式会社スーパーワーム 代表取締役CEOの古賀勇太朗さんからは、昆虫タンパク質の開発についてピッチいただきました。水産飼料の値上げから、タンパク質危機を課題と感じた古賀さんは、新たなタンパク質源として、スーパーワームに注目しました。密集状態で蛹化しないという課題に対し、独自の蛹化装置開発によって世界初のスーパーワーム大量生産を可能にし、今後昆虫によるタンパク質の供給を行うとのことです。

株式会社精密編集 代表取締役 / CEOの横内 裕二さんからは、開発された新ゲノム編集One-Shot法についてのピッチ。One-Shot法は狙った標的のみを編集できる点と、時間・コストを半分に節約できる点がこれまでになかった長所でした。この技術は、医療分野や農業分野に活用でき、認知症の創薬やロングライフ果物の開発等への活用を現在考えているとのことでした。

コメンテーターは、他のセッションに引き続きワンドロップス株式会社 代表取締役社長、村重亮 さん、レオス・キャピタルパートナーズ株式会社の竹山将志さんに務めていただきました!各企業の持つ課題と長所について、鋭く切り込んでコメントをいただきました。

18:40 – 19:20 Panel Discussion: 熊本から世界の食を変える

ピッチの裏ではカンファレンスルームで、「熊本から世界の食を変える」と題して引き続きパネルディスカッションを行いました。有限責任監査法人トーマツ 監査・保証事業本部 西日本事業部 西日本アドバイザリー マネジャーの田島大地さん、エシカルプロダクツ株式会社 代表取締役の永井香織さん、株式会社ふく成 取締役の平尾有希さんの3名にご登壇いただきました!

永井さん、平尾さんから、それぞれの事業に対する思いや、熊本市の支援や繋がり「食」領域での展開の仕方などを事業を軌道に乗せるまでの様々な経験に基づきお話しいただきました。永井さんは、家族で経営していたみかん農場で、みかんの果汁を利用した食品を販売したところ、他の味が欲しいという要望を受けた事からゲル食品の開発を始められたそうです。平尾さんは、病気から回復しお子さんが産まれたことをきっかけに、子供のために何かを残したいと考えたことがきっかけでEC、冷凍への展開を始められたそうです。

また、農業、漁業分野において実は九州でもトップレベルに有望な熊本市。今後食領域をどのように育てていくか、素材だけでなく、熊本市ならではの人、自然といった利点を活用され、関係人口を増やしつつ事業展開されてきたお2人に熊本で食に取り組む意味をお話しいただきました。また、現在海外展開に向けて実際に動き始め、手応えも感じているとのこと。世界的に人気のある日本の食を熊本市から広げていけるような可能性も感じるパネルディスカッションとなりました。

19:30 – 20:20 Panel Discussion: 熊本のスタートアップシーンの軌跡と可能性

最後のパネルディスカッションでは、ユウシステム代表取締役 兼 神山まるごと高専 アントレ教員 の入江英也さん、株式会社kuniumi 代表取締役 兼 XOSS POINT. 施設長の上平健太さん、熊本市 経済観光局 産業部 起業・新産業支援課 課長の野口信太朗さん、株式会社しびっくぱわー代表取締役 兼 熊本学園大学 外部講師の堀下 恭平の4名にご登壇いただきました!

立場は違えどスタートアップの支援側にいる4名として、XOSS POINT. がこれまで孤立していた駅前にできたことで果たしている役割や、今後のあり方、心掛けていることなどをお話しいただきました。
今後も様々な関係者を巻き込んでいくために、スタートアップの支援者となる運営側が常に成長していく必要性を感じているそう。それぞれのやり方で、オープンなマインドを持って人を巻き込むことを大切にしているとのことです。熊本市での関係人口の増やし方、施設の果たす役割や今後の拡大や位置付けの展望について白熱したディスカッションとなりました。

これまでのセッションでも何度も触れられたように、人と繋がりやすいのが理転の熊本市。ですが今後の課題として、帰属意識を持ちつつ外へ出ていく人を送り出すことで、外部にも関係人口を増やすことが見えてきました。行政の柔軟性や海外との関わりといった熊本ならではの特徴を活用し、今後も独自のスタートアップエコシステムを成長させることに真剣に取り組む4名の熱いセッションとなりました。

20:20 – 20:30 クロージング

クロージングは、熊本市 経済観光局長、村上和美さんにイベントを締めていただきました!
世界から注目される熊本の熱をより一層感じるイベントになった、という言葉に会場も大きな盛り上がりを見せました。

 

多くの方々のご協力により、今年も大盛況で終わることができました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!!!

るんるん

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