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【report #96】TX沿線場づくり会議!チャレンジが生まれ育ちつながる場の仕掛け

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『TX沿線場づくり会議!チャレンジが生まれ育ちつながる場の仕掛け』を開催!

12/17(土)にco-enにて、TX沿線の場づくりについて考えるイベントを実施。つくばエクスプレス(TX) により秋葉原駅からつくば駅まで45分で結ばれ、高度な都市インフラを備え文化施設や商業施設も多く立地しているTX沿線。教育、福祉、医療など快適な暮らしの機能も充実してきました。駅ごとの特色も豊かに育まれており、ものづくりや先端科学や技術に由来するディープテックスタートアップの創出や市民参加型のまちづくりなど…。TX沿線それぞれの地域の特徴を紐解くとともに、新しいつながりを生み育むイベントを開催しました!

 

まずは登壇者の方々それぞれの事業と場について紹介!

🙋‍♂️ 伊東 明彦さん(株式会社ツクリエ インキュベーションマネージャー)【StartupSide Moriya / 守谷駅】

宇宙関係の研究者として約20年間活動していましたが、4月からStartupSideに関わるようになり、この分野はまだまだ勉強中です。つくば市の各研究機関とはもともと付き合いがあり、今でもお付き合いがあります。

■ 守谷駅前のこれまで

TX沿線の他の地域に比べて、守谷には特徴的なものがないと10年ほど思っており、他の施設との意見交換などを個人的に実施し妄想を描いていました。その中で、スタートアップを支援するようなコーワーキングの機能をつくりたいと思うようになりました。わたし自身守谷では、農業団体の代表をしたりアンテナショップを経営したりしています。地域の困りごとを解決すべく取り組んでいて、気づいたらいろんな団体や会社の代表をしていました笑 これら活動を通じて、地域の方々とはお付き合いしています。

■ 守谷市はどんなまち?

人口約7万人/面積が35.7km²と、茨城県の中でも面積が小さく、人口密度は茨城で1番高いまちです。また商業施設が多くあり、守谷駅前にブランチ守谷ができた際もなかなか店舗が入りませんでした。

守谷市は、茨城県の玄関口であり、利根川/鬼怒川/小貝川に囲まれた緑豊かな環境です。住宅地と田舎の風景が道路1本挟んで大きく変わるのも特徴です。乳牛/肉牛がたくさんいて、東京から時間距離が近い酪農地域です。

■ 「ブランチ守谷」とは?

約半分が公園の商業施設です。守谷駅から徒歩4分の場所にありますが、他の商業施設により駅から施設が見えない立地になっています。施設内の公園は守谷市の管轄外で運営されているので、商業関係の活動がしやすい公園となっています。

■「StartupSide Moriya」の誕生

もともと守谷駅前にスタートアップを支援する施設があったらいいなと考えていたこともあり、ブランチ守谷の空いていた区画にStartupSide Moriyaをつくりました。24時間365日利用可能で、コワーキングが40席、WEB会議ブースが4室、会議室などがあって、コンパクトなつくりとなっています。

コンセプトは「郊外型テレワーク・スタートアップ拠点のモデル」にすること!守谷に住んでいる方は東京に通っている人が多く、コロナの影響でテレワークや副業を始めた方も多くいます。
【各機関との連携】近隣地域とは積極的に連携していきたいと思っています。実際に、つくばの研究施設との連携、“学生が輝くまち”再生プロジェクトなどによる筑波大学/茨城大学との連携、エリアごとにあるさまざまな課題を解決するためのまちづくり協議会との連携を行っています。
【DX推進/グリーンインフラ事業との連携】小中学校でホップを栽培し、それを使って守谷地ビールを製造し、親御さんに飲んでもらうという「循環型地ビール事業」を行っています!地域のさまざまな活動をサポートしたり連携したりしながら、新しい事業者さんに来てもらい新しい風をつくっていくことを大事にしています。
【その他支援事例】わたし自身がドローン業界を作った発起人だということで、ドローン関係の相談をたくさん受けています。また、農業/食品/健康促進/地方創生などのプロジェクトも行っています。

ツクリエについて

Social Impact Solutions株式会社のグループ企業で、ここの代表が守谷市の住民であるというご縁もあります!ツクリエでは、インキュベーション施設やコワーキングオフィスの運営を通して起業家を支援しています。医療法人社団 悠翔会の代表も守谷市にいるということで、守谷で新しい拠点として在宅医療と訪問介護を兼ね備えた小規模多機能の施設をつくる予定です。このように、グループ内外さまざまな方々と連携しながら新しい事業をつくっていこうと思っています。

ツクリエでは、現在17ヶ所の拠点運営を行ったりそこでイベントを行ったりしています。その中でも最近プレスリリースを出したのが、つくばに新しくできるスタートアップ拠点 inno-base TSUKUBAです!TX研究学園駅から1.3kmのところにあるプロロジスの物流倉庫 ZOZOBASEつくば3の一部として、2023年4月オープン予定です。この施設では倉庫をうまく使いながら、オフィスやシェア倉庫、実証実験の場としてご利用いただけるよう準備をしています。つくば市プロロジスと連携しながら、ツクリエがここの運営支援を行っていきます。

 

🙋‍♂️ 小林 遼平さん(つくばまちなかデザイン株式会社 専務取締役)【co-en / つくば駅】

生まれたのは東京ですが、幼稚園のときにつくばに引っ越してきました。大学で一度東京に出たものの、卒業後はつくば市役所に入庁し、そこからずっと筑波研究学園都市のまちづくりに携わっています。2021年4月につくばまちなかデザイン株式会社を立ち上げました。

つくばまちなかデザインはどんな会社?

「人と人、コトとコトをつなげる調整機能」と「まちなかでコトを創る実行する機能」の2つを機能させることで、まちを魅力的にしていく会社です。つくば市や地域の事業者が出資をして、2021年4月1日に設立しました。

つくばまちなかデザインでは「自分のものさしで多様なライフスタイルが選択できる新たなまちを創る」をビジョンに掲げています。まちによって人のライフスタイルはかなり影響されると思っており、まちから少しずつ多様性を許容するように変えていかなければいけないと考えています。そこで、それぞれのライフスタイルを許容できるようなまちづくりをしていこうと、さまざまな取り組みを実施しています。

■ つくばまちなかデザインの事業

・つくばセンター広場でのイベント実施 / サポート
・ロボット配送サービス
つくばエキスポセンター内にあるほしまるカフェの運営
・センタービルの地下駐車場の運営
まちの情報発信
TSUKUBA TERRACEのコンサルタント(公園のリニューアルなど)
・つくばの商品を販売する冷凍自販機の設置
・地域通貨運用に向けた取り組み

co-enの運営
2022年5月7日に、このイベント会場にもなっているco-enをオープンしました。「さまざまな人が集い、さまざまなチャレンジが生まれるつくばの交流拠点」を目指して、スタートアップやコミュニティ活動、イベント実施など、さまざまなチャレンジを応援しています。
① co-working:所属や性別、年齢問わず、10〜70代の幅広い方々にご利用いただいています。
② co-cooking:つくばのおもてなしとして利用できる「Beer& Cafe Engi」と新しいチャレンジの場としてのシェアキッチンを設置しています。
③ co-event:イベントスペースとして、さまざまな団体とともに幅広いイベントを開催しています。
④ co-wall:通路にアートギャラリーを設置し、筑波大生に運営を任せています。
⑤ co-wagon:チャレンジショップを実施できるワゴンを設置しています。
⑥ co-office:7区画オフィスを設置しています。

■ 他の施設との連携

ホテル日航つくば:相互利用による特別プランを設定
LivingAnywhere Commons:会員の相互利用
など、さまざまな施設や団体と連携して、たくさんの人とつながりながら活動しています!

 

モデレーター:
🙋‍♂️ 堀下 恭平(株式会社しびっくぱわー 代表取締役社長)【Tsukuba Place Lab

元々12年くらいずっと場づくりの人間です。契機は3.11。大学1年生だったわたしは人と人のつながりの大切さを感じ、コミュニティに興味を持ちました。

■ イノベーションの創出

積極的な自己開示から相互理解を図りイノベーションが起こるといいなと考えています。

2012年に学生カフェを創設。ゆいまつりビアフェスの第1回に出店したりスタッフをしたりしていました。この頃からつくば市役所時代の小林さんには大変お世話になっていました。
また、下妻駅前の活性化にも取り組み 茨城Beer-1フェストin下妻を実施しました。
21歳の頃から行政コンサルを本業として、総合計画をつくる仕事をやらせてもらっていました。全国5自治体の総合計画策定に関わらせていただく中で、起業家でありながら自治体のことを知ることができる機会に恵まれました。
2016年には筑波大学すぐそばのコワーキングプレイス Tsukuba Place Labを創設し、2022年12月でちょうど6周年を迎えました。1,800本くらいのイベントを実施し、25,000人くらいに来ていただいています。
2018年にセンタービルにてつくば駅前コワーキング up Tsukubaを創設。今ではco-enにいい形で引き継いでいただいてありがたいと感じています。
そのほか、2020年にはTSUKUBA CONNÉCTを、2021年にはつくばスタートアップパークの運営を開始しました。
また、2022年には熊本駅前インキュベーション XOSS POINT.にてアドバイザーに就任しました。

「場をつくり、人の可能性を最大化する」ために、最近はイベント屋さんになっています。年間450本くらいのイベントを企画運営したり登壇したりしています。根底にあるのは、10億円の資金調達も5歳児のはじめてのおつかいも「あらゆる挑戦を応援したい」という想いです。

 

みなさんの紹介が終わったところで、ここからはクロストーク&質問タイム!

守谷とつくば、そしてTX沿線の特徴や、これまでの動きとこれからの課題や展望について、さまざまな角度からお話しいただきました。

 

堀下
堀下
守谷で支援する場を開かれていて、感じていることを教えてください!
柏とつくばの間という土地柄、研究施設はなくても潜在的に研究者が守谷にいるのではないかという仮定がありました。そこで、守谷に誰かがきっかけをつくれば大きな流れをつくり出すことができるのではないかと考えました。また、エリアごとの課題に対してフィットしたソリューションやサービスができれば「守谷発」みたいなものがぽこぽこ生まれてくるのではないかと!
伊東さん
伊東さん

 

堀下
堀下
co-enを開いた今だからこそ、つくばならではの場づくりや支援、その先にある挑戦についてどのようなイメージを持っていますか?
市役所でさまざまな支援をしていく中で、ある種の限界があると感じました。市役所だと組織と組織をつなぐことが得意でしたが、個人ベースでやりたいことがある人が多くいる中で応援できないところがありました。そこでまちづくり会社を立ち上げることによって、組織と組織だけでなく個人と個人をつなげることもできるなと実感しています。個人も組織も両方ターゲットにしながら、いろんな人たちを巻き込んでいきたいなと思っています!
小林さん
小林さん

 

堀下
堀下
守谷で場づくりする上で、どんなプレイヤーがいますか?
これまで守谷市は、大きなテコ入れをしなくても自然に人口が増え成長してきてしまったという背景があります。一方で、守谷市の住民はそう感じているわけではありません。優秀な人材が集まっているからこそ、不満に思ったり不安に思ったりすることがあり、どうにかしていこうというモチベーションを持った方々もいます。
このような潜在性を受け止めていきながら、個人を組織やプラットフォームにつなげていくことによって、新しい仕組みや仕掛けができるのではないかと思っています!StartupSide Moriyaでも間に入っていって、行政と市民をつなぎ民間企業も巻き込んで、きれいなストーリーを描きたいと思っています。
伊東さん
伊東さん

 

堀下
堀下
自治体から外に出てみて、改めて見えるつくば市の強みやサポートしていきたい点を教えてください!
いろんな分野におけるトップレベルの研究者がたくさんいるので、何か困っても必ず誰かにあたるというところは、つくばの強みだと感じています。一方で、それをいろんな事業やまちづくりにつなげられていないのが課題です。もっと市民生活やまちづくりに落とせるようなサポートが必要だと思います!
小林さん
小林さん

 

堀下
堀下
つくばでは研究開発型のスタートアップ創出を掲げていますが、今つくばに必要なことはなんだと思いますか?
つくばスタートアッププログラム2022というアクセラプログラムの事務局も担当していて、いろんな研究者や研究機関とも意見交換させていただいています。研究者はもともと論文を書くのが本職で、20年前に特許を取る必要性を認識し始め、10年前から研究を社会実装していこうという流れができ、やっと最近スタートアップという領域があることが認知され始めてきました。今後つくばは、研究者がひとつの出口戦略としてスタートアップを認識していかないといけないと思います。社会実装を視野に入れた研究テーマの設定、社会実装の手段のひとつとしてスタートアップがあるということの意識づけが必要になっています!
伊東さん
伊東さん

 

堀下
堀下
スタートアップもそれ以外もというスタンスでco-enを運営している、その想いや狙いを教えてください!
わたしは「いろんな人が交わらないといいまちはできない」と考えています。つくば市は、行政がスタートアップにかなり振り切って支援している中で、違う分野のチャレンジを支える場が市内にはありませんでした。なぜならお金にはなりづらいから。だからこそ、つくばまちなかデザインが市から出資をいただいて、地域を盛り上げたいという想いを持った事業者が関わってくださることで、薄利だけれどもまちに貢献したいという想いに理解を得ることができています。
また、スタートアップの方々と意見交換している中で、日本の国際対応力の低さが課題だと感じています。海外の研究者がだいぶつくばに戻ってきている中で、日本の方とコミュニケーションがとれないという話をよく耳にします。「日本の研究者は技術力は高いけれども対話ができないのでビジネスにならない」「海外の方が日本に来ても日常生活を送りづらい」という声がある中で、社会力を高めるために活動していこうと思っています。
小林さん
小林さん

 

堀下
堀下
最後に!これからどんなことに力を入れていきたいか、明るい未来について教えてください!
この地域をどうしていきたいかというのは地域の方が1番よくわかっているはずです。そこで、地域課題をどう解決していくかを、地域の方が主体となって取り組んでいくことがまず第一。それを解決していくソリューションや技術がつくばにはあります。まずは仕掛けていくことを大事にして取り組んでいってもらえればと思います!
伊東さん
伊東さん
つくば、守谷、柏、秋葉原、それぞれ違うよさがあると思います。そこの役割分担をしっかりして、TX沿線全体でブランディングをしていくことで、東急沿線や小田急沿線などと戦っていかなければいけないと思います!co-enはこれからTX沿線に出ていき、連携しながらTX全体を盛り上げていくべく取り組んでいけたらと思います。
小林さん
小林さん

 

トークセッション終了後は、ざっくばらんに交流!

トークセッションの中では聞けないような踏み込んだ質問や、今後の連携も視野に入れたご挨拶などが展開されました!
イベント終了後には、参加者の方々に向けてco-enの施設案内ツアーも実施しました。

中井 遥

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