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【report】県北BCPセミナー #2|やりたいことを、仲間とかたちにしていく

6/20(土)に開催した『県北BCPセミナー #2』の様子を紹介します!

Business Challenge Program(県北BCP)は、県北地域活性化を目指すコミュニティ。業種/職種/年齢/性別/国籍を超えた挑戦者たちが共創することで未来を切り拓く、アイデアソンによるディスカッションを活用した新規事業開発を通じてビジネス関係人口の創出を図るプログラムです。茨城県県北振興局が主催し、株式会社しびっくぱわーが運営。半年間で事業構想を磨き、最終報告会で発表します。

6/20(土)13:00から、日立地区産業支援センターとZoomで開催した、県北BCPセミナー #2「アントレプレナーシップと新規事業開発」の様子を紹介します。

 

やってみたいことはあるのに、まだ事業と呼べるほどではない。あるいは、自分で何かを始める予定はなくても、誰かの挑戦に関わり、一緒に考えることから地域とつながってみたい。県北BCPは、そんなまだかたちにならない思いを、仲間とともに少しずつかたちにしていこうとする場です。

キーノートには、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長の伊藤 羊一さんが登壇。後半では、過去に県北BCPへ参加した県北BCPリーダーOBOGの3名が、いまも続く挑戦について語りました。完璧な計画がなくても、未完成のままでも、誰かに話してみていい。そう思えるヒントを、当日の言葉とともに紹介します。

アイデアソンに向かう入口として

5月の #1に続き、6/20(土)に開催された県北BCPセミナー #2は、7月から始まる県北BCPアイデアソンへ向けた入口となる時間でした。

オープニングで、運営を担う株式会社しびっくぱわー代表の堀下が伝えたのは、前回と同じく「楽しみましょう!」という言葉でした。いいと思ったら「よっ」と声を出して拍手する作法も共有され、会場には軽やかな声と拍手が広がりました。

学びの場であると同時に、楽しむ空気をみんなでつくる。その県北BCPらしい空気のなかで、セミナー #2が始まりました。

共感と信頼から、アントレプレナーシップへ

#1のセミナーで印象的だったのは、「共感と信頼でつながる仲間」という言葉でした。お金や権限ではなく、共感と信頼が人を動かす。その土台の上に、#2ではさらに問いを重ねます。仲間と、何を始めるのか。

#2のテーマは、アントレプレナーシップ。聞き慣れない言葉と感じる方もいらっしゃるかもしれません。当日のキーノートは、起業家だけでなく、地域で何かを始めたい方にも開かれた内容でした。

伊藤 羊一さんが語る、踏み出すためのアントレプレナーシップ

🙋‍♂️伊藤 羊一さん(武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 学部長)

キーノートに登壇したのは、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長の伊藤 羊一さんです。Musashino Valley代表、Voicyパーソナリティ、元Yahoo!アカデミア学長を務め、著書『1分で話せ』などで知られています。県北BCPのセミナーには、今回で3回目の登壇。テクノロジーで世界が変わり続ける時代に、私たちはどう一歩を踏み出せるのか。お話は、問いに沿って進みました。

アントレプレナーシップは、起業家だけのものではない

「やりたいことや夢に基づき、失敗を恐れずに踏み出し、新たな価値を創造していくマインド」

伊藤さんは、アントレプレナーシップをこう定義します。

起業家精神と訳されることが多い言葉ですが、伊藤さんは、起業する人だけのものではないと語ります。会社に勤める人、行政で働く人、NPOで活動する人。立場は違っても、新しい価値を生み出そうとする姿勢は同じように求められます。アントレプレナーシップは、一歩を踏み出そうとするすべての人に関わるものとして語られました。


できるかどうかより、やってみること

伊藤さんは、個人の妄想を仮説に変え、共感する仲間とともに、少しずつかたちにしていける可能性について語りました。テクノロジーや生成AIの広がりによって、個人が試せることの幅も広がっているからです。

象徴的に語られたのが、伊藤さん自身の経験でした。2020年4月、学校現場でオンライン授業への対応が急がれていた時期に、伊藤さんは知人の先生にZoomの使い方を伝えたことをきっかけに、教育関係者へノウハウを共有する場を立ち上げます。当時のTwitterやFacebookで呼びかけると、30人ほどの仲間が集まり、数日のうちに千人規模のイベントへと広がっていきました。

「やれるか、やれないかじゃなくて、やるのだ」

使ったツールは、ZoomやSNS、Slackなど、特別なものではありませんでした。大切だったのは、できるかどうかを考えすぎることではなく、動き出す気持ちと行動だったそうです。

妄想と仮説の関係にも、質疑のなかで触れました。最初は、ふわりと浮かぶ妄想から始まる。まずは一人ひとりが考えたことを持ち寄り、壁打ちやブレストを重ねながら、少しずつ仮説のかたちにしていく。仮説になったら、実際に試してみる。そんな順番が示されました。

譲れない思いが、決断の軸になる

伊藤さんは、自分自身を導く「リードセルフ」の大切さも語りました。過去を振り返り、何を大事にしてきたのかを知る。譲れない思いが見えてくるといいます。

伊藤さん自身も、かつて、苦しい時期を過ごしたことがあったといいます。そんななか、周囲に支えられながら担当したマンションの案件で、完成した建物から笑顔の家族が出てくる姿を目にしました。そのとき、自分の仕事が誰かの幸せに少しでもつながっているのかもしれないと感じ、仕事の尊さを実感したそうです。「人は変われる」という思いは、現在の活動にもつながっています。

リーダーの役割についても、印象的な言葉がありました。リーダーの仕事は決めること。そして、決めるとは、やめることを決めることでもある。東日本大震災のとき、物流の復旧を東北に集中させ、東京や大阪の事情をいったん手放した経験から語られました。何に従って決めるのか。あるべき義務ではなく、自分はこうしたいという思いだと、伊藤さんは話します。

仲間を巻き込むうえで欠かせないのは、「信用ではなく信頼」だとも語りました。信用は「嘘をつかない」という一方向の状態である一方、信頼は、信じて頼り合う相互の関係です。自分からオープンになることで、相手も少しずつひらいていく。伊藤さんは、そんな信頼のつくり方を示しました。

講演の終盤、伊藤さんはアラン・ケイの言葉として知られる「The best way to predict the future is to invent it.(未来を予測する最良の方法は、それを発明することだ)」を引用しました。さらに、ある楽曲の一節になぞらえ、未来は自分たちの手で自由にひらいていけるものだと会場に投げかけ、キーノートを締めくくりました。

休憩は、県北BCP恒例のフード&ドリンク

キーノートのあとは、県北BCP恒例のフード&ドリンクで一息つく時間です。

おやつは、高萩市の「cafe restaurant La Forêt」。ドリンクは、大子町で自家焙煎を手がける「coffee & furniture hajimari」のコーヒーと、地域の梅を漬けた梅ジュースが用意されました。

学びと対話の合間に、地域の味を囲みながら、自然と会話が生まれていました。

県北BCPリーダーOBOG 3名が語る、その後も続く挑戦

後半は、過去に県北BCPへ参加した県北BCPリーダーOBOGの3名によるピッチとクロストークです。3名に共通していたのは、県北BCPはゴールではなく通過点だ、という感覚でした。受賞や発表で終わらず、いまも続いている挑戦とは、どんなものなのでしょうか。

「会社を日本一に」から、「会員さんを日本一に」——林さん

🙋‍♂️2022年度県北BCPリーダーOB

林 三弘さん(いばそう企画有限会社

家業の葬儀業を引き継いだ林さん。林さんが大切にしてきたのは、嘘をつかない、ありのままの経営でした。厳しい時期もありましたが、現実を正面から受け止めて立て直し、20年ほどかけて黒字へと歩みを進めてきたといいます。

県北BCPでは当初、会社が日本一になることを掲げてエントリーしました。社内会議では、言ったことを自分たちで実行しなければならないぶん、当たり障りのない意見になりがちだったといいます。

「県北BCPでは、責任を気にせずに自由な意見を出してもらえた。その意見を聞いて、できるか、いいねと思うかを僕が判断していけばよかったんです」

中間発表で「会社を日本一に」から「会員さんを日本一に」へとテーマが定まった瞬間、取り組みは一気に動き出し、オーディエンス賞につながりました。

受賞後に生まれたのが、人生を楽しむための「ネクストライフシート」です。亡くなった後のためではなく、これからの時間をどう生きるかを描く。会員を大切にしたいという思いから続く取り組みは、6/30に第4回を迎えるなど、いまも回を重ねています。

異業種の仲間との対話が、新しい社屋の源泉にもなった——美喜さん

🙋‍♀️2022年度県北BCPリーダーOG

福地 美喜さん(株式会社八千代商事

木材と住宅資材の卸売業を営む会社で、広報と新規事業を担う美喜さん。取引先の廃業が進むなかで、これからの事業をどうするかという危機感を抱えてきたといいます。地域で自分らしく動きたい。そんな思いから、県北BCPに飛び込みました。

初回のプレゼンでは、原稿を読みながら、涙ながらに思いを伝えたと振り返ります。当時はプレゼンの経験もなく、頼れるのは、木材でプロダクトをつくりたいという熱量だけでした。それでも、その熱量に多様な仲間が集まっていきました。製造業やカメラマン、金融など、異業種のメンバーによるチームが生まれ、対話を重ねた結果、県知事賞を受賞しました。

「いろんな人と意見を交わして、何かをつくっていく。これって地域の未来につながるんじゃないか。新しい社屋をつくりたいと思った源泉も、そこにありました」

異業種の仲間と対話しながら地域の未来を考えた経験は、やがて「八千代の森」という場にもつながっていきました。受賞後も、桜を生かしたプロダクトづくりや地域での出店など、チームとの協働は続いています。

仲間に助けられ、自分の個性の届け方を見つけた——永松さん

🙋‍♂️2023年度県北BCPリーダーOB

永松 裕士さん(monotalk studio

映像制作の会社を営む永松さん。県北BCPへの参加は、最初から強い目的があったというより、周囲との関係のなかで決めた面もあったと、率直に振り返ります。当時は26歳。自分の考えを強く持っていて、人の意見で方向を変えるつもりはなかったといいます。

ところが、チームに集まったのは、デザイナーや神社の巫女さん、こだわりの羊羹をつくる方など、それぞれの視点を持つ仲間たちでした。

「自分の尖りを丸めるのではなく、尖ったまま、どう的を絞って届けるか。そこを皆さんに助けてもらいました」

仲間に助けてもらううちに、自分の個性をなくすのではなく、そのままどう届けるかを考えるようになったといいます。やがてその取り組みは、審査員賞のダブル受賞につながりました。

いま、永松さんは常陸太田産業振興株式会社の代表としても、地域や事業者のために動いています。県北BCPでの経験は、当時の発表で終わらず、その後の活動へとつながっていきました。

どんな人が、県北BCPに向いているのか

クロストークの終盤、「どんな人が県北BCPに向いているか」という問いが3人に投げかけられました。

美喜さんは、自分の世界観や譲れない思いを持つことの大切さを、少しユーモアを交えながら表現しました。そのうえで、こう続けました。

「できないことを、できないと言える。助けてと言える。チームの一人ひとりに役割を渡せる人が、向いていると思います」

林さんも、同じ意見だと言葉を重ねます。

「事業のことで悩んだとき、社内だけで考えていると、どうしても現実的な制約が先に立つこともある。そういう人こそ、県北BCPのような場でやるのがいいと思います」

永松さんの答えも、同じ方向を向いていました。

「誰よりも強い思いがあるけれど、自分だけではできないと悩んでいる人にこそ、向いていると思います」

完璧なプランより、できないことを抱え込まず、仲間に共有できる姿勢。立場の違う3人の答えは、少しずつ言葉を変えながらも、同じ方向を向いていました。挑戦は、ひとりで完成させるものではなく、仲間と育てていくもの。3人の言葉には、県北BCPらしさが表れていました。

7月から始まる、挑戦の本編へ

クロストークの締めくくりに、堀下も言葉を添えました。

「何かをやりたい、やっている人を助けたい、力になりたい。そう思う方がいてくれること自体が、本当に資産だと思います」

県北BCPは、誰かに用意された場ではなく、関わる一人ひとりがともに育てていくコミュニティです。リーダーだけの場ではなく、チャレンジャーもまた、それぞれの経験や関心を持ち寄り、まだかたちにならない思いや問いを一緒に磨いていきます。

7/18(土)から始まる県北BCPアイデアソンでは、新規事業に挑む10社の県北BCPリーダーが持ち込む事業の種をもとに、チャレンジャー(一般参加者)がチームに加わり、対等な立場でアイデアを出し合いながら、新規事業の可能性を探っていきます。特別な事業案を持っていなくても、誰かの問いに耳を傾け、自分の視点を重ねることから参加できます。

実際に、セミナーに参加した方からは「職場以外の仲間と関わり、違う文化や価値観に触れられる貴重な機会だった」「地域の熱いビジネスを知り、自分も参画するチャンスを得られる」といった声も寄せられました。講演を聞くだけでなく、誰かの挑戦に触れ、自分の視点を持ち寄る。その関わり方こそ、新たな一歩になるのかもしれません。

言葉を交わし、次の関係が生まれるネットワーキング

セミナーの最後は、登壇者や参加者が自由に言葉を交わすネットワーキングの時間です。

キーノートやクロストークで受け取った言葉をきっかけに、会場のあちこちで会話が続いていました。自分の事業について相談する人、登壇した県北BCPリーダーOBOGに声をかける人、初めて会った参加者同士で、それぞれの仕事や地域への思いを語り合う人。

クロストークの中では、「悩んだら新社屋に来てほしい」「県北BCPリーダーOBOGを訪ねて話を聞いてもいい」といった言葉もありました。県北BCPで生まれるつながりは、当日の会場だけで完結するものではありません。

事業について一人で考えていると、なかなか言葉にならないこともあります。けれど、誰かに話してみることで、自分では気づかなかった視点が見えてくる。困ったときに相談できる人がいる。応援してくれる人がいる。

そんな関係性が少しずつ積み重なっていくことも、県北BCPの大きな魅力です。

「ビジネスにつなげに来るのも素晴らしい」という言葉があったように、この場での出会いは、ただ名刺を交換して終わるものではありません。それぞれの挑戦を知り、できることを持ち寄り、必要なときには助け合う。そんなコミュニティが、県北BCPの中で育まれています。

セミナーで交わされた会話が、次の県北BCPアイデアソンでの再会や、新しい協働につながっていく。ネットワーキングの時間にも、これから始まる半年間への期待が広がっていました。

受賞や発表の先に、挑戦は続いていく

妄想は、ひとりで抱えているだけでは、まだ動き出さないままかもしれません。けれど、誰かに話し、仲間と試し始めたとき、未来を動かす仮説へと変わっていきます。

当日の言葉から見えてきたのは、挑戦は受賞や発表で終わるものではなく、その後も続いていく通過点だということでした。完璧な計画がなくても、できないことを抱え込まず、「助けて」と言える関係があれば、挑戦は少しずつ前に進んでいきます。

やってみたいという小さな思いを、まずは誰かに話してみる。完成した答えがなくても、問いを持ち寄るところから始められます。その一歩が、誰かの挑戦とつながり、やがて仲間と育っていく入口になるのかもしれません。

県北BCPアイデアソン、チャレンジャー募集中

県北BCPでは現在、県北BCPリーダーの挑戦を一緒に考え、アイデアを育てていくチャレンジャー(一般参加者)を募集しています。1回から参加でき、地域を問わず、どなたでも参加できます。

自分の事業案がなくても大丈夫です。誰かの挑戦に触れ、自分の経験や関心を持ち寄ることから、地域との関わりは始まります。

📅 県北BCPアイデアソン2026

#1|7/18(土) 13:00〜18:00(日立地区産業支援センター

#2|8/15(土) 13:00〜18:00(日立地区産業支援センター)

#3|9/19(土) 13:00〜18:00(日立地区産業支援センター)

#4|10/17(土) 13:00〜18:00 ※中間発表(日立市民会館

#5|11/21(土) 13:00〜18:00(日立地区産業支援センター)

#6|12/19(土) 13:00〜18:00 ※最終報告会(NN Shibuya Crossroads

※中間発表・最終報告会はオンラインでも配信予定です。

🎪 子育て世代のチャレンジ、大歓迎!

当日は、まちのこ団によるあそび場も予定されています。お子さんと一緒に、ぜひ会場へお越しください!

\やるぜ、県北!みんな、集まれ!/