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プレゼンテーション特集 vol.6|チームときわ水電【審査員特別賞受賞】

1/20(土)に開催した県北BCPアイデアソンの集大成「県北BCPアイデアソン2023最終報告会」で、みらい創造機構賞を受賞されたチームときわ水電のプレゼンテーションをご紹介します。



このプレゼンテーション特集では、県北BCPアイデアソン2023最終報告会に登壇した10チームの活動実績をチームごとに紹介します。今回は、審査員特別賞であるみらい創造機構賞を受賞されたチームときわ水電による『再エネをきっかけにして「人」「モノ」「こと」が集まり循環して持続するまち』です。
*1/20(土) 県北BCPアイデアソン2023最終報告会の受賞者や当日の様子についてはこちらの記事をご覧ください。

地域社会と共に取り組む

私たちが今回チャレンジしようとしていることは、再生可能エネルギー(以下、再エネ)のひとつである、小水力発電の開発事業です。皆さんもご存知の通り、現在の日本の電力の多くは、火力発電に頼っています。それが地球温暖化を進めていることは言うまでもありませんが、燃料代として莫大な資金が海外へ支払われています。このような海外依存の状況があるため、ロシアによるウクライナ侵攻が、世界的なエネルギー価格の高騰を引き起こしているという問題は、皆さんの記憶にも新しいかと思います。

このような状況を踏まえてときわ水電では、地域資源に対して再エネの開発を行います。開発には資金が必要となるため、金融機関や民間企業から資金を集め、小水力発電から生まれた電気を売ることで収益を得ます。電力市場の市場規模は、20兆円あると言われております。

さらに、再エネを開発していく上で、地域社会との関係性は非常に大切です。地元の農家さんや漁業者さん、山主の皆さんとも話し合いを重ねながら、発電による利益を地域にも還元し、地域社会と一緒に再エネに取り組んでいくことを目指しています。このような仕組みが地域の中でうまく回っていけば、電力の地産地消や持続可能なまちづくり、カーボンニュートラルの実現などで地域に貢献することができます。

日本の近代化を支えてきた北茨城市

「なぜ北茨城市で、私が取り組むのか」についてお話しします。北茨城市は、かつては石炭で栄えたまちでした。江戸時代の終わり頃まで遡ると、市内では “露頭炭” と呼ばれる、地表に露出している石炭の採掘が始まりました。これが日立市からいわき市にまで広がる常磐炭田開発の始まりとも言われています。

その後、社会の流れもあり、市内で水力発電が開発されました。市内の発電所は、100年経った今でも現役で稼働する水力発電所です。一方で、市内の炭鉱は相次いで閉山していき、北茨城市の産業や日本のエネルギーを支えた石炭は終わりを迎えます。つまり、北茨城市はかつて石炭で栄えながら、近代化していく日本のエネルギー分野を支えてきた地域だったと言うことができます。

2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。北茨城市の被害も決して小さくありませんでした。当時、私は高校1年生でした。私の実家は、有機農業の農家です。インターネットを中心にお客さんを獲得していたのですが、福島第一原子力発電所が爆発した瞬間に、お客さんは0になりました。このような時に小水力発電を知り、是非勉強したいと思って大学に入学しました。卒業後は会社員として、ゼネコンで施工管理や再エネ開発に取り組んできました。その後、会社を退職し、2021年に現在の事業であるときわ水電を設立しました。

未来につなぐ事業として

私たちの事業内容を紹介します。私たちは、小水力発電を開発し、発電所で作られた電気を売電することで収益を得る発電事業を行っています。役員は、私、地元の事業者、茨城県内の再エネ事業者、水車や発電機などの機械設備を供給する事業者、専門家である小水力アドバイザーで構成しています。事業がスムーズに進むような役員構成です。実際には、山の中の川に取水という水を取るための仕組みがあり、そこから水道管のような水圧管路が通っています。1番下に発電所があります。

現在進めている計画では、初期費用が概算で3.6億円、年,間の売上は4,000万円を見込んでおります。最初に大きな費用がかかりますが、川の流れを活用するため安定した発電と収益を得ることができます。

年間の費用は、専門の手引き書などを参考にして、人件費や修繕費、減価償却費等を見込んで1,000万円としています。事業期間は20年以上を目指していますが、できれば数十年以上稼働させたいと思っています。長く稼動を続けることができれば、その分未来に利益をつなげられるようになります。今年度は現地調査や事業性評価などを実施しています。2023年度末を目処に、精度の高い事業計画書が出来上がる見込みです。

2024年度は各種許認可の申請や土地の取得、資金調達などに取り組んでいきます。2027年頃の運転開始を目標に、地元の方たちや専門家の皆さんとも話し合いを重ねながら着実に進めていきます。

北茨城市の人口推移を見ると、戦後6万人ほどだった人口は現在4万人を切っており、2050年には2万4,000人になると推計されています。つまり、北茨城市の人口は100年で半分以下になるということです。また、2050年は、カーボンニュートラルの年でもあります。このような未来に、地域の社会や経済がどうなっているのかは、誰にも分かりません。

ちょっと先のちょっとポジティブな未来を

Appleの取り組みを少し紹介させてください。AppleはRE100という事業活動で、消費するエネルギーを100%再エネ由来にするという宣言をしています。この取り組みは、仕入れ先の台湾積体電路製造(TSMC)にも影響を及ぼします。現在建設中の熊本県の工場では、消費するエネルギーを100%再エネにするという計画で進んでいます。そして、立地地域である熊本県では、空港周辺を再エネタウンにするという取り組みが始まっています。この熊本県の取り組みは、環境省の脱炭素先行地域という取り組みにも選ばれています。おそらく波及効果として、地域の企業誘致が有利になったり、ブランドの向上にも繋がっていくのではないかと考えられます。つまり、未来を見越した再エネ開発というのは、未来の地域経済や地域の社会を担えるのではないかと、私は考えています。

ここで皆さんにお配りした資料を開いてみてください。北茨城市はかつて石炭で栄えたまちでした。これからは、再エネで「人」「モノ」「こと」が集まり、循環して持続するまちにしていきたいと思っています。先進的な事例は全国にたくさんあります。全国の事例から学び、世界規模で考え、そして地域で行動していく “Think Globally & Act Locally” で頑張っていきます。「人口が減少する」という危機感を訴えることはしたくありませんが、ちょっと先のちょっとポジティブな状況を見据えながら、今から行動していきます。



 

県北BCPアイデアソン最終報告会受賞者が登壇します!

県北地域のネットワークをさらに広げるためのイベント県北BCPセミナー編vol.6「新規事業開発と新規起業が生み出す県北イノベーション」にて、茨城県知事賞を受賞されたチーム菊池精機の菊池 正宏さん、オーディエンス賞を受賞されたチームDAIGO SAUNAの和田 真寛さん、優秀賞を受賞されたチーム佐々木製作所の佐々木 謙彦さんがピッチを行います。

キーノートでは株式会社imaの三浦 亜美さんをお招きし「新規事業開発や新規起業におけるコラボレーションの重要性」についてお話しいただきます。合同ピッチでは、県北BCPアイデアソン最終報告会受賞者と県北BSS最終プレゼンテーション受賞者からのピッチを実施し、県北地域でスタートした新しい取り組みについてお話しいただきます。イベントの最後には交流会を実施し、県北地域での広いつながりとコラボレーションを生み出す機会をつくります。

県北地域の活動に少しでも興味のある方は、新たなつながりとアイデアを求めて、ぜひご参加ください!

\やるぜ、県北!みんな、集まれ!/