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プレゼンテーション特集 vol.2|チームDAIGO SAUNA【オーディエンス賞受賞】

1/20(土)に開催した県北BCPアイデアソンの集大成「県北BCPアイデアソン2023最終報告会」で、オーディエンス賞を受賞されたチームDAIGO SAUNAのプレゼンテーションをご紹介します。



このプレゼンテーション特集では、県北BCPアイデアソン2023最終報告会に登壇した10チームの活動実績をチームごとに紹介します。今回は、オーディエンス賞を受賞されたチームDAIGO SAUNAによる『DAIGO DAUNAからはじまる大子のまちづくり』です。
*1/20(土) 県北BCPアイデアソン2023最終報告会の受賞者や当日の様子についてはこちらの記事をご覧ください。

DAIGO SAUNAとは

私たちは、10年以上放置された大子町にある古民家と大谷石の蔵をリノベーションしてDAIGO SAUNAという宿泊施設を運営しています。「空き家再生」という私自身の専門的なスキルと経験を活かし、自ら運営しています。一棟貸しの古民家宿、サウナイベントの開催や交流の拠点として提供しています。大谷石の蔵をリノベーションしたサウナは特別感があり、外気浴スポットからの眺めも絶景です。県外からも多くのサウナーが訪れています。



このプロジェクトを始めたきっかけは、コロナ禍により東京での生活に窮屈さを感じたことでした。「田舎でも暮らしてみたい」と思うようになり、東京と大子町との二地域居住を開始。東京の下町と茨城の田舎という全く異なる環境での新しい生き方に、家族4人でチャレンジしています。1ヶ月間のうち1週間程度を大子町で過ごしています。

私たち家族が大子町に滞在している期間には、東京から友人やその家族をDAIGO SAUNAに招き、大子町の案内をします。そして、ここで過ごした時間や体験に感動して帰っていきます。東京でも「だいご」というワードが飛び交うようになり、友人たちやその家族にも親しみを感じてもらえるようになりました。

二地域居住を開始してから丸2年が経とうとしています。この期間に地域内外の関係者と大子町の未来について語り合ってきました。私自身が当事者になり、まちの魅力や課題についても把握することができました。

大子町は人口14,000人ほどの小さなまちで、年々人口は減少しています。人口の約半分が65歳以上の高齢者で、地域の産業は縮小し、空き家や空き店舗も増え続けています。主要な産業は観光産業です。観光産業では年間100万人の観光客に対して、宿泊を伴う観光客の割合が圧倒的に少ないです。さらに、週末は混雑していてランチも思うように食べられないという状況があり、シーズンや曜日による繁閑差も顕著です。これらの状況を考えると、大子町には課題と共に大きな可能性があると実感しています。

一方で、大子町には豊かな観光資源があります。日本三名瀑の袋田の滝、ドラマや映画のロケ地になっている旧上岡小学校、キャンプ場、魅力的な食の文化があります。大子デパートというレトロな商店街もあります。

県北BCPアイデアソンでの取り組み

DAIGO SAUNAは2023年9月にグランドオープンしました。ほぼ同時期に県北BCPアイデアソンに参加しチームでディスカッションやブレストを実施。マクロ環境の分析や自社の強みや弱み、大子町の資源とその魅力や顧客のニーズや社会の変化などの分析を行いました。そしてセグメンテーションを行いターゲットを設定し、独自のポジショ二ングを定め、そこからゴールと戦略を決定していきました。ターゲットとなる顧客に対して「どのような付加価値を提供するのか」について徹底的に議論をしたことで、私たちが目指す宿の姿が明確になりました。

私たちが目指す宿の姿は、「大子町での全ての体験のハブになり、アンテナショップやショールームのように地域の魅力が集積された宿」です。そして、私たち家族の暮らしの時系列と共に成長する宿です。

サウナはすでに日本の入浴文化に定着しつつあり、施設の数も増えています。どのように差別化を図っていくのかが鍵と考えました。サービスを決めていくうえで、需要だけでなく、町内では人材が著しく不足しているため供給側も制約されるということを念頭に置き、次のような判断軸を設定しディスカッションを行いました。
・安定した収益の確保のために「高単価」で「平日に稼働」ができる
・一棟貸しのため「キャンセルリスクが低い顧客」の獲得
・将来的に「関係人口」や「雇用の創出」など、地域との関わりが生まれるか
こうしてディスカッションの結果、DAIGO SAUNAの明確なターゲットとそのサービスが決まりました。

DAIGO SAUNAのサービスとは

■ 法人への需要:ワーケーション
コロナ禍を経て多様な働き方が定着した今、ワーケーションの需要は拡大しています。仕事をしながら休暇を楽しめる環境で「一体感のある空間」を活かしてコミュニケーションを図りながらのワーケーション施設として提供。福利厚生が充実した企業や多様な働き方がしやすいIT業界にアプローチし、ワーケーションの定番スポットになることを目指します。

■コミュニティ醸成や合宿需要:パッケージツアー
パッケージツアーを組むにあたって、リトリート需要に注目をしました。リトリートとは住み慣れた土地や日常を離れ、仕事や人間関係で疲れた体と心を癒すことを目的としています。サウナを起点に、リトリートに最適なスポットとコンテンツを集約したパッケージツアーを企画しました。座禅・サウナ・滝行・川魚釣りなどの心身共にリフレッシュする体験を、経営者や都心で働く現役世代へ提供していきます。

■ インバウンド需要:Deep Local DAIGO
パッケージツアーなどの企画を、今後も成長し続けるインバウンドのマーケットにも転用し、日本人もほとんど知らない大子町の魅力を「Deep Local DAIGO」と銘打ってサービスを提供します。多言語に対応したオンラインメディアや富裕層の顧客を抱えるトラベルエージェントと連携し、顧客獲得を目指していきます。

DAIGO SAUNAだからこその価値

2023年11~12月にテストマーケティングを実施しました。ローカルで活躍するプレイヤーや大手企業で働く方をワーケーションモニターとして受け入れました。予想以上に高い評価を得ることができ、これらのプランの確信を得ています。

法人向けのワーケーションを皮切りに、パッケージツアー、そしてインバウンドの富裕層向けに日本のDeep Localの価値を提供します。この3つを軸に宿泊日数と単価をKPIに定め販売戦略を策定しました。年間1500万円の売上を目標にしていきます。

集客はランディングページへ流入する導線をオンライン/オフラインそれぞれ想定。楽天やじゃらんなどのOTAと呼ばれるサービスに頼らず、私たちが提供したい付加価値が届けられる戦略として、宿泊施設の紹介だけではではなく「どのような体験ができるのか」を丁寧に伝えていきます。パッケージごとにテーマや目的を定めたランディングページで訴求することや、メディアやSNSなども今後はさらに活用して集客を狙っていきます。宿泊施設としてビジネスモデルはいたってシンプルですが、DAIGO SAUNAは宿やサウナを機能として販売するのではなく、私たち家族が大子町で暮らしている意味を乗せ、地域との関わりを最大限に活かした唯一無二の体験を提供することで、差別化を図っていきます。

DAIGO DAUNAからはじまる大子のまちづくり

今後のビジョンについてお話しします。東京と大子町との二地域居住をきっかけとしてDAIGO SAUNAの事業もスタートしました。そして、これからは大子町のまちづくりに挑戦していきます。空き家や空き店舗を活用して新しいコンテンツを地域に創出します。教育の分野では、大子町の資源を活かした子育てや教育の場をつくっていきます。「課題から理想へ、利己から利他へ」をテーマに、大子町という地域が稼げるまちへ成長することと、関係人口や雇用の創出を目指します。私たちチームも家族も願っている大子町のあるべき姿は「人口が減少しても豊かで持続可能な地域になること」です。まずはレトロな雰囲気が残る商店街エリアのリノベーションから始めます。私自身が「この地域にあったらいいな」と思うものや、面白くてワクワクするようなコンテンツを落とし込んで、まちづくりのきっかけをつくっていきます。

大子町の町民のシビックプライドは高いと感じています。地元が好きでUターンする若者や家業を継ぐ若手も少なくありません。このようにポテンシャルが高い大子町で、DAIGO SAUNAの取り組みでまちづくりを先導し、外国人観光客でまちが賑わい、経営者や都心で働く現役世代の方たちが大子町の魅力や可能性に触れ、やがて地域の当事者となり、大子町で眠っている産業に新しい可能性を芽吹かせる。そして次の世代につないでいく。DAIGO SAUNAは、その先頭に立っていきたいと思います。

最後に「なぜ私がやるのか」というお話しをします。一つ目は、一級建築士と空き家再生プロデュースという専門的なスキルがあります。二つ目は、大子町の魅力と都会のニーズの両方を誰よりも知っています。東京と大子町というふたつの地域で暮らすことで、私は人や文化や情報を交錯させ、新しいチャレンジを起こすことができます。三つ目は、私たち夫婦が偶然にも親が大子町で生まれ大子町で育ちで子どもの頃からまちに慣れ親しんできました。その意味と思いを子どもたちにも紡いで、今後数十年かけて大子町の新しい未来をつないでいきます。



 

県北BCPアイデアソン最終報告会受賞者が登壇します!

県北地域のネットワークをさらに広げるためのイベント県北BCPセミナー編vol.6「新規事業開発と新規起業が生み出す県北イノベーション」にて、茨城県知事賞を受賞されたチーム菊池精機の菊池 正宏さん、オーディエンス賞を受賞されたチームDAIGO SAUNAの和田 真寛さん、優秀賞を受賞されたチーム佐々木製作所の佐々木 謙彦さんがピッチを行います。

 

キーノートでは株式会社imaの三浦 亜美さんをお招きし「新規事業開発や新規起業におけるコラボレーションの重要性」についてお話しいただきます。合同ピッチでは、県北BCPアイデアソン最終報告会受賞者と県北BSS最終プレゼンテーション受賞者からのピッチを実施し、県北地域でスタートした新しい取り組みについてお話しいただきます。イベントの最後には交流会を実施し、県北地域での広いつながりとコラボレーションを生み出す機会をつくります。

県北地域の活動に少しでも興味のある方は、新たなつながりとアイデアを求めて、ぜひご参加ください!

\やるぜ、県北!みんな、集まれ!/