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“関わりたくなる設計”で地域の余白を舞台に変える ── 県北BCPアイデアソン2025最終報告会・審査員特別賞(エヌエヌ賞)のチームタンポポが描く、県北の未来

この記事のポイント(1分で分かる)

  • 県北BCPアイデアソン2025最終報告会で審査員特別賞(エヌエヌ賞)を受賞したチームタンポポの挑戦を紹介
  • 高萩市でのSNS動画施策(映えスポット設計・体験コンテンツ)を紹介
  • チーム名:チームタンポポ
  • リーダー:Innocence 代表 猪野裕子さん(日立市)
  • テーマ:移住数カ月のいのさんが、みんなとつくる『ひたちマルシェ』
  • 本記事の結論:チームタンポポは、地域の「余白」を見つけ、若者をリスペクトしながらともにつくる仕組みで、県北に新しい動きを生み出そうとしています。

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「地方で何か始めたい」「地域に貢献したい」。

そんな想いを持ちながらも、一歩が踏み出せない。移住への壁、成果が出るかどうかの不安。そして何より、「地域の活動って結局ボランティア的なものが多くなるのでは」という疑念。これらが多くの人の前に立ちはだかります。

県北BCPアイデアソン2025最終報告会では、そんな迷いの先にある挑戦が、具体的なかたちとしていくつも発表されました。そのなかで審査員特別賞(エヌエヌ賞)を受賞したのが、「自分軸を持ち、ポジティブに動く『ギャルマインド』でイノベーションを起こしたい」と語るチームタンポポです。ここからは、当日の言葉と具体例をたどりながら、その構想の輪郭を追います。


県北BCPで挑む「余白をつなぐハブ」づくり

県北BCPは、県北地域活性化を目指すコミュニティです。業種/職種/年齢/性別/国籍を超えた挑戦者たちが共創することで未来を切り拓く、アイデアソンによるディスカッションを活用した新規事業開発を通じてビジネス関係人口の創出を図るプログラムです。

茨城県県北振興局が主催し、株式会社しびっくぱわーが運営。半年間で事業構想を磨き、最終報告会で発表します。


2025年4月に県北へ ── 外から来たからこそ見えた可能性

チームタンポポ リーダーの猪野裕子さんが県北での活動を開始したのは、2025年4月のことでした。

「ギャルマインドでイノベーションを巻き起こそうぜ!という思いで日立に来ました」

猪野さんは最終報告会のステージで、そう語り始めました。

福島県いわき市出身の猪野さんは、東京、アメリカ、シンガポール、鎌倉と拠点を移してきました。10代の時は、ギャルサーをつくり福島県いわき市や茨城県水戸市にてイベント企画運営をしていたそうです。

「日立はハワイだと思ってきてるわけですよ。もうめちゃめちゃポテンシャル高いなと思ってます」

外から来た立場だからこそ見える価値がある──猪野さんは「ハワイ」という比喩で、地元の方が大切にしてきた資源への敬意を込めながら、県北のポテンシャルを前向きに語りました。


猪野さんが感じてきた「若者が関わらない理由」

「なぜ若者は地域に関わり続けないのか」

猪野さんは自身の経験をもとに、県北地域の課題を問い直しました。発表では、次のような点が挙げられました。

  • 人口流出:20代・30代の女性の人口減少が続いている
  • 仕事の選択肢:製造業と比較して、一般事務・販売職の仕事が少ないという実感
  • 娯楽の不足:ライフイベントの変化に対応できる選択肢が少ない

猪野さんは周囲の様子から、これらが若者の地域離れの背景にあると感じてきました。


解決アイデア:「関わりたくなる設計」で地域の余白を舞台に変える

これらの課題に対し、猪野さんが立てた仮説はシンプルでした。

「でもそれって、おもしろく関われる”イケてる設計”がされていないだけなんですよ」

猪野さんは発表の中で、「人というより仕組みの問題ではないか」と捉えていました。若者が関わりたくなるような、ワクワクする設計図がないだけ。地元の方が大切にしてきた資源に、新しい光を当てるための設計──それを自分がつくればいい。

この発想の転換が、猪野さんの挑戦の出発点となりました。

映えスポットがSNSで大きな反響に ── 高萩市での実践例

猪野さんは県北での活動を開始後、複数のプロジェクトを立ち上げました。なかでも象徴的な事例として発表で語られたのが、高萩市の花貫渓谷紅葉まつりでの取り組みです。

発表で紹介された施策:

  • 「映えスポット」の設計:フォトジェニックな撮影ポイントの整備
  • 「アクティビティ」の企画:来場者が体験できるコンテンツ

猪野さんは発表で「来場者減少が課題だと聞いていた」と述べました。当日の発表によると、制作した動画は大きな反響を呼び、夜のイルミネーションには例年の2倍の来場者が訪れ、売店の方からは過去最高の売り上げだったと言われたこともあったとか。

「まさか私、この年齢になってギャルマーケティングできると思わなかったですね」

会場には和やかな空気が流れました。


年齢や立場を問わず ── 学生との協働が生んだ成果

猪野さんが特に意識しているのが、若者を「支援される側」ではなく「ともに創るパートナー」として扱うことです。

発表の中盤、猪野さんはスペシャルゲストとして茨城キリスト教大学の公認サークル「ガクヒタ」から2名の学生を壇上に招きました。「学生時代に日立に力を入れる」をコンセプトに活動するメンバーです。

日立駅前イルミネーション制作プロジェクト

学生たちは、日立駅前のイルミネーションディスプレイ制作プロジェクトに参加しました。

猪野さんが学生と実践した「巻き込み方」

  • ① 完成イメージの言語化:ゴールを全員で共有
  • ② タスク分解:誰が何をやるかを明確に
  • ③ 逆算スケジュール:週2〜3回の作業を設定

学生が語った「対等な関わり方」

「学生を対等なパートナーとして扱い、同じ熱量をもって関わってくださったので活動しやすかった」

学生は発表の中で、猪野さんとの協働について上記のように振り返っています。猪野さんはこの言葉を聞いて、「もう泣けるよね」と笑顔で応じました。

「関わりたくなる余白があることを、体験の舞台に変えられるってことなんですよ」

こうした姿勢から、若者育成の一つのモデルが見えてきます。


収益を分散させる事業構想 ── Innocenceが描く未来

猪野さんは発表の中で、事業構想についても語りました。Innocenceは、メディアを中心に複数の事業で収益を分散させる構想を掲げています。

事業の全体像

メディアを中心に5つの事業で収益を分散させる構想です。

  • メディア事業:茨城の逸品を紹介する「常陸暮らし」
  • 受託案件:自治体・企業からのPR・イベント企画
  • 人材育成:学生との協働プロジェクト
  • EC:地域産品のオンライン販売
  • クラウドファンディング:自社企画(準備中)

中核を担うのは「ひたちマルシェ」です。ポップアップストア形式の室内マルシェと、茨城の逸品を紹介するメディアを起点に事業を展開していきます。

「イノベーション!」── 会場が一体になった瞬間

「私が地域の余白を見つける。そして学生、行政、地域企業をつなぐハブになるんです」

猪野さんがハブとなり、行政・若者・地域の人々が互いに協力し合う仕組みを提案しました。

「まさしくこれがイノベーションです」

最後は会場全体で「イノベーション!」と動きを合わせ、発表を締めくくりました。


まとめ

「挑戦」という言葉は、一人では重すぎても、チームなら軽くなります。

猪野さんが県北で築きつつある「余白をつなぐハブ」の仕組みは、年齢も立場も問わず、誰もが自分の得意分野で関われる場を生み出そうとしていました。

この記事の要点3つ

 1. 余白の発見:「何もない」と思われる場所にこそ、おもしろく関われる余白が眠っている

 2. リスペクトの流儀:若者を支援対象ではなく、共につくるパートナーとして扱う

 3. ハブの設計:行政・学生・企業をつなぐ存在が、地域の動きを後押しする可能性を示した

この記事の核心は、地域でも、未完成でも、挑戦は始められるという希望です。

地域資源を大切に歩んできた県北に、ギャルマインドという新たな風が吹く。制度や資金面の工夫に加え、最後は人のつながりが推進力になる——そう感じました。


次の一歩へ

この記事を読んで、心に小さな灯がともったなら。その灯を消さないうちに、次の「小さな一歩」を踏み出してみませんか。

あなたに合う入口から選んでください:

応募しなくても、参加しなくてもいい。「こういう挑戦のかたちもある」と知ること自体が、次の一歩になるかもしれません。


\やるぜ、県北!みんな、集まれ!/