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【report】県北BCPアイデアソン #2|「私」から「私たち」へ

8/15(土)に開催した『県北BCPアイデアソン #2』の様子を紹介します。

お盆のさなかにもかかわらず、日立地区産業支援センター(HITS)には93名が集まりました。チームが決まった前回から1ヶ月。この日は、3時間のグループワークを中心に、チームごとにアイデアを深めていきました。

その前に行われたキーノートで語られたのは、2022年度に県北BCPのリーダーを務めた大川 貴世美さん自身の失敗談。想いを共有すること、人に頼ること、「私」ではなく「私たち」を主語にすることの大切さが伝えられました。

その日の夕方には、名前を決めたチーム、次に試すことを言葉にしたチーム、「まとまりませんでした」と報告したチーム。それぞれ違うカタチで、チームの輪郭があらわれていました。

Business Challenge Program(県北BCP)は、県北地域活性化を目指すコミュニティ。業種/職種/年齢/性別/国籍を超えた挑戦者たちが共創することで未来を切り拓く、アイデアソンによるディスカッションを活用した新規事業開発を通じてビジネス関係人口の創出を図るプログラムです。

茨城県県北振興局が主催し、株式会社しびっくぱわーが企画運営。半年間で事業構想を磨き、最終報告会で発表します。

楽しむための約束と、チームづくり

オープニングでは、県北BCPで毎回大切にしている約束が、あらためて共有されました。

「大切なことは何かと言いますと、楽しみましょうということですね」

仕事のような指揮系統や雇用契約のないコミュニティだからこそ、楽しめる環境を自分たちでつくることが、続けていく力になる。いいと思ったら「よっ!」と声をかけながら拍手するなど、まずはカタチから場の空気をつくる工夫が紹介されました。

この日からは、議論についていきにくいときに「ムムっ」と伝える合図も追加。まだ互いを知っていく途中だからこそ、摩擦になる前に立ち止まるための工夫です。

前回、参加者全員が自己紹介をしたのは、相互理解にはまず積極的な自己開示が必要だからです。異なるものどうしが結びつくには、互いの背景を知ることが大切だと、あらためて共有されました。

失敗から学ぶ、チームづくりのヒント


🙋‍♀️ 大川 貴世美さん(合同会社Emmagination 代表社員/2022年度県北BCPリーダーOG)

企業研修とコーチングスクールを運営し、チームやコミュニケーションについて伝える仕事をしています。

「チームづくりに大失敗した私が、先生になりに来ました」

大川さんが共有したのは、自身が2022年度の県北BCPで経験した失敗でした。

一人で抱え込んだ、4つの失敗

当時の大川さんは「一人で何でもできると思っていたんですね」と振り返ります。

語られた失敗は4つ。話し合いが毎回振り出しに戻ったこと、人に頼れずアイデアを抱え込んだこと、意見をもらっても採用できず理由も共有できなかったこと、お金がないから頼めないと思い込んでいたことです。

「チームがいるのに、一人で溺れるということが起きておりました」

想いを語らず、やることも決まらないままメンバーは離れ、最終報告会には一人で発表に臨みました。それでも「審査員特別賞」を受賞。発表後の経験を通じて、人を頼ることへの考え方が変わっていったといいます。

協力ではなく、協働する

大川さんがいま大切にしているのは、「協力」と「協働」を分けて考えることです。協力は手伝い合うこと。協働は、想いや方向性を揃え、共に新しいものをつくること。だから主語は「私」ではなく「私たち」になります。

転機のひとつが、最終報告会後の面談でした。審査員を務めた株式会社ガイアックス 執行役の佐々木 喜徳さんから「これから一緒に頑張ろうね」と声をかけられ、「一緒に」という言葉に衝撃を受けたといいます。

うまくいくチームの3条件

失敗を裏返して示された条件は3つ。目的と想いを共有すること、自分がどう貢献できるかという役割を考えること、安心して発言できる場をつくることです。

さらに、スキルだけでなく、その力を身につけた背景まで知ることも大切だといいます。背景がわかれば、一人ひとりの力をいかし、掛け合わせることができます。

できないと言えるようになるまで

同じ2022年度のリーダーだった福地 美喜さんは、活動のなかで、できないことには「できない」と口にしていたといいます。福地さんが率いたチーム八千代商事は、その後の最終報告会で茨城県知事賞を受賞しました。

できないと伝えるほど、その部分を補おうとする人が集まってくる。その姿から大川さんが気づいたのは、「頼ることは甘えじゃないんだな」ということでした。

意見をもらうときも、まず「なぜやるのか」という想いを伝え、Yes, and(相手の案を否定せず、そこに足していく進め方)で重ねていく。自分の想いと意見を掛け合わせ、一緒に新しい言葉をつくっていくことが、協働につながります。

「失敗しまくった方が、ラッキーです」

守られた場だからこそ、失敗を重ねてほしい。そんなメッセージでキーノートは締めくくられました。

1分ずつ共有された、この1ヶ月の動き

キーノートのあと、県北BCPリーダーが1分ずつ、この1ヶ月の進捗を共有しました。

🏢 株式会社マイステック 代表取締役 石川 美菜子さん / 日立市

チョコレートやデザートなどを先につくる「つくって開く」と、完成前から人とつながる「場を開く」の2つの方向を共有しました。

🏭 株式会社茨城テック 自立共創事業部 部長 篠原 慎一さん / 日立市

就労支援を複数の角度から捉え、仕事につなげるために何ができるかを考えたいと共有しました。

📈 コンプラス株式会社 取締役 経営戦略室長 佐藤 修一さん / 日立市

メンバーそれぞれがショップ開設を試し、無料ウェビナーの準備も進めています。

🌈 株式会社ゆいまーる 代表取締役 鈴木 花奈さん / 日立市

下妻市の施設視察を経て、子どもたちが家庭と学校以外で安心して過ごせる場所をつくりたいという想いを再確認しました。

🏷️ 株式会社オールウェイタッグ 代表取締役 菊池 理可子さん / 日立市

県内行政の取り組みを調べ、移住と仕事の情報が分散しやすい現状を共有しました。

🌿 自然と仲良し 共同代表 椎名 可奈子さん・東海林 悠里さん / 日立市

「自然と仲良し」のビジョン・ミッション・バリューを整理し、5つ目のバリューを参加者と一緒に考えます。

🏛️ 常陸太田産業振興株式会社 代表取締役 永松 裕士さん / 常陸太田市

4つの新商品開発を進めながら、長期熟成チーズのストーリーづくりとパッケージデザインを考えたいと共有しました。

🚗 レンタカーズSEiWA 取締役 棚谷 泰之さん / 高萩市

スポーツカーなどを使い、県北地域を巡る二次交通としての役割を構想しています。

🚀 株式会社PROUD 代表取締役 五十嵐 快さん / 高萩市

地域の「やってみたい」を拾い、挑戦まで伴走する「チャレンジベース」の構想を共有しました。

🎨 METEORA GRAVITY イラストレーター ハルタスクさん / 北茨城市

地域の店や人をキャラクター化した、手に取りやすいタブロイド形式の地域ガイドを検討しています。

3時間のアイデアソン

3時間のグループワークがはじまり、各チームの時間の使い方はさまざまでしたが、多くのチームが向き合っていたのは「なぜ」という問いでした。

議論のなかで、話は自然と「どうやるか(How)」や「何をつくるか(What)」に向かいます。手段やサービスの形は、考えやすく、言葉にしやすい。一方で「なぜやるのか(Why)」は、答えがすぐに出るとは限らず、掘り進めるほど言葉に詰まることもあります。この3つの境界は見分けにくく、話しているうちに混ざっていくこともありました。

商品やサービスは変わっても、Whyは変わりません。だからこそ、最初にそこと向き合っておく必要があります。

なぜ、そのアイデアをいま出しているのか。どんな想いのために、そのアイデアをまとめていくのか。各テーブルを回った大川さんが問いを重ねると、リーダー自身がまだ言葉にしていなかった想いが、テーブルの上に現れる場面がありました。

鍵になるのは、原体験と「モヤモヤ」です。なぜその課題が気になるのか、何を放っておけないと感じているのか。過去の経験や、心に残っている悔しさまでさかのぼると、借り物ではない言葉が出てきます。

そこからの変化は、目に見えるものでした。別々の方向を向いていた意見が、ひとつに集まりはじめる。リーダーの人柄が伝わり、「この人はこれをやりたかったのか」という納得が、チャレンジャーたちのあいだに広がっていきます。ぶつかり合っていた意見は、否定し合うものではなく、同じ目的に向けて重ねるものへと変わっていく。テーブルの空気が、一体感を帯びていきました。

言葉そのものと向き合うチームもありました。議論の中で置かれた言葉に、どこか違和感が残る。きれいに整った言葉ほど、実感から離れていることがあります。その違和感の正体を、時間をかけて探る。話すこと、想いを共有すること、そこにアイデアを重ねること。その往復のなかで、チームの言葉が磨かれていきました。

3時間のあいだ、会場は自分のテーブルだけで閉じてはいませんでした。気になるチームの議論をのぞきに行くチャレンジャー、別のテーブルで意見を置いてくるチャレンジャー。チームを越えて人が動き、そのたびに新しい視点が持ち込まれていきます。

動いていたのは、チャレンジャーだけではありません。自分のチームを離れ、別のテーブルにいるリーダーの姿もありました。その間、残されたテーブルではチャレンジャーたちが熱心に議論を続けています。役割を渡すこと。キーノートで語られた「協働」が、早くもこの日のグループワークで起きていました。

リーダー同士のコラボレーションも、これまでで最も多く生まれています。すでに一緒にプロダクトを動かしはじめているチームも、いくつもありました。

議論の合間には、日立和洋菓子いちかわのお菓子と、しびっくぱわー堀下がサーブする3種類のオリジナルブレンドコーヒーでひと息。hajimari晴耕雨読がコラボレーションした「晴れの日ブレンド&雨の日ブレンド」、もっくん珈琲Tsukuba Place Labがつくった「Labブレンド」が並びました。この日は沖縄土産のちんすこうも加わり、アイデア出しの合間に頭を休めるひとときとなりました。


まちのこ団のあそび場で過ごしていた子どもたちが、自分たちで淹れたコーヒーを大人のテーブルまで届けてくれる場面もありました。真剣な議論の途中に、小さな手からカップが差し出される。子どもを預けて大人だけが集中するのではなく、子どもも場の一員としてそこにいる。県北BCPらしい光景です。

3時間が終わった時点で、整理が進んだチームもあれば、まだ道の途中にいるチームもある。10チームの現在地はばらばらですが、それでも「なぜ」に向き合いはじめたこと自体が、この日の一歩でした。

3分で見えた、チームの現在地

グループワークを終えて、各チームが3分ずつ、この日の成果を共有しました。

🏭 株式会社茨城テック

チーム名は「日立Booster’s」に。自立までのステップを整理し、利用者の状態をいくつかのフェーズに分け、それぞれに応じたサービスを提供する方針を決めました。次回は、各フェーズに対して、アイデア出しを行います。

🎨 METEORA GRAVITY

チーム名は「エモターテインメント」に。地元にあったものがなくなっていく「寂しさ」を、サービスを考える軸にできるのではないかという気づきが生まれました。

🏢 株式会社マイステック

散歩しながらできあがるデザートを考え、ヨーグルトを使った実験やチョコレートの試食を実施。子どもたちとパッケージをつくる案や、日立駅から初崎まで歩くイベントも計画中です。

🚗 レンタカーズSEiWA

「まとまりませんでした」という報告からスタート。スポーツカーで県北地域を巡り、地域での消費や滞在につなげる二次交通の構想を共有しました。

🌈 株式会社ゆいまーる

「居場所をどうつくり、どう資金を確保するか」を考えていましたが、「支援者と子どもたちが一緒につくり続ける、未完成の場所でいいのではないか」という方向へ議論が広がりました。交流イベントやゲーム大会を第一歩として、子どもたちの「やってみたい」を取り入れながら、一緒に育て、更新し続ける居場所を目指します。

🌿 自然と仲良し

チーム名は「自然と仲良し」に。NPO法人の説明とビジョン・ミッション・バリューを共有し、5つ目のバリューを「やりたいが広がる場所を提供する」と決めました。

🏷️ 株式会社オールウェイタッグ

「なぜ人を移住させたいのか」を深掘りし、働き方から選べる職業紹介という方向が見えてきました。今後は関係機関へのヒアリングを進めます。

🏛️ 常陸太田産業振興株式会社

チーム名は「HOIP(ホイップ)」。チーズを、里美の風景や酪農の価値を次世代につなぐ手段として整理。学生による生産者インタビューなどの案も出ました。

🚀 株式会社PROUD

チーム名は「ChallengeBase」に。誰か一人の「やってみたい」をどう動かすかを考え、11月に試すアイデアや話を聞きたい相手を整理しました。

📈 コンプラス株式会社

ネットショップの開設支援について、ウェビナーの見せ方への率直な意見を受けて内容を見直すことに。事業を始めた理由を伝え、サプライヤー情報も共有する方針が示されました。

応援し合えるコミュニティの手応え

後日公開されたアンケートには、この日の場についての声が寄せられました。

「チャレンジを応援してくれる、応援できるコミュニティがあることに感謝します!まだまだよろしくお願いいたしますー!」

「いつも素敵な場をありがとうございます!!引き続き、みんなで県北盛り上げていけるよう楽しんでいきたいです!!!」

前回は異なる業種や世代との出会いに価値を感じる声が多く、今回は応援し合えるコミュニティへの言及が目立ちました。

私たちの「なぜ」が、チームを動かす

キーノートで語られたのは、協力ではなく協働すること。その日の成果発表でも、支援者と子どもたちでつくる未完成の居場所、里美の風景を守るためのチーズなど、「私たち」を主語にした方向が見え始めていました。

クロージングでは、10月17日の中間発表と12月19日の最終報告会が、いずれも8分ピッチになることが共有されました。

さらに大切にしてほしいと伝えられたのが、「なぜ今やるのか」「なぜあなた/あなたたちがやるのか」「なぜこれをやるのか」の3つです。この3つへの答えをチームで共有できれば、その人、そのチームにしかできない発表になると語られました。

「これがないと、あなたじゃなくても良いプレゼンになっちゃうんですよ」

いまは、小さなドミノを順に倒している段階。大きなドミノをすぐに倒せなくても、まずはチームメンバーの自己開示と相互理解に力を注ぐことが呼びかけられました。

県北BCPアイデアソン、チャレンジャー募集中

県北BCPアイデアソンは、最終報告会を含め、あと4回続きます。途中からの参加・単発参加・初参加も大歓迎。地域に関わらず、どなたでも参加できます。

次回#3は9/19(土)、日立地区産業支援センターで開催。この日からさらにアイデアを具体化し、中間発表に向けた準備を進めます。チームビルドワークショップも予定されています。

▶︎ 県北BCPアイデアソン #3の詳細はこちら
https://civicpower.jp/bcp/news/35440/

📅 今後の開催予定
9/19(土) 13:00〜18:00 アイデアソン #3
チームワークとピッチ準備
10/17(土) 13:00〜18:00 アイデアソン #4
中間発表!
11/21(土) 13:00〜18:00 アイデアソン# 5
デザイン思考とピッチ準備
ゲスト:クリエイティブディレクター 高野一樹さん
12/19(土) 13:00〜18:00 アイデアソン #6
最終報告会!

※中間発表・最終報告会はオンラインでも配信予定です。

🎪 子育て世代のチャレンジ、大歓迎!
当日は、まちのこ団によるあそび場も予定されています。お子さんと一緒に、ぜひ会場へお越しください。

\やるぜ、県北!みんな、集まれ!/