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【report】県北BCPアイデアソン #1|誰かの課題が、みんなの挑戦に変わる

7/18(土)に開催した『県北BCPアイデアソン #1』の様子を紹介します。

3分間の課題発表で、ある県北BCPリーダーはこう打ち明けました。

「今立ち止まっています」

5年目を迎えた2026年度は、日立地区産業支援センター(HITS)に、過去最多となる118名もの参加者が集まりました。10社の県北BCPリーダーが3分間で語ったのは、すでに動いている事業や構想の現在地と、これからチャレンジャー(一般参加者)と一緒に考えたい、まだ答えを見つけられていない課題です。多くの発表は、完成した答えを示すのではなく「力を貸してほしい」という呼びかけで締めくくられました。

仕事で身につけた知識、暮らしのなかで感じてきたこと、地域で見てきた景色。そうした一人ひとりの経験が持ち寄られ、夕方の進捗発表では、方向を見直したチームや、次に試すことを決めたチームが、それぞれの現在地を共有しました。

Business Challenge Program(県北BCP)は、県北地域活性化を目指すコミュニティ。業種/職種/年齢/性別/国籍を超えた挑戦者たちが共創することで未来を切り拓く、アイデアソンによるディスカッションを活用した新規事業開発を通じてビジネス関係人口の創出を図るプログラムです。

茨城県県北振興局が主催し、株式会社しびっくぱわーが企画運営。半年間で事業構想を磨き、最終報告会で発表します。

自己紹介と「アイデアソンの心得」から始まった初回

県北BCPアイデアソン2026は、12月まで全6回にわたって開催されます。

オープニングでは、茨城県政策企画部長の木名瀬 貴久さんが挨拶し、まず行動すること、そこから得た学びを組み立て直しながら、次の挑戦へつなげていくことの大切さを伝えました。

続いて、参加者全員が自己紹介と意気込みを共有しました。自己紹介の前後には、アイデアソンで大切にしたい姿勢について進行の堀下から説明をし、互いの違いを楽しみながら、まず自分の経験や関心を開示することの大切さが伝えられました。

その後の「アイデアソンの心得」では、同じ言葉を聞いても、人によって思い浮かべる前提は異なることを確認。いきなり答えを出すのではなく、相手の意見の背景を探りながら考える視点をそろえ、県北BCPリーダーの課題発表へ進みました。

5月と6月のセミナーでは、共感と信頼で人を動かすことや、まだカタチにならない思いを仲間と試すことを学びました。その学びを、実践へ移す時間の始まりです。

県北BCPリーダーの課題発表から開かれた、10の問い

県北BCPアイデアソンでは、県北BCPリーダーが事業の種となる問いを持ち込み、チャレンジャーが関心のあるテーマを選んでチームに加わります。1社3分の課題発表は、チャレンジャーが「どの問いを一緒に考えたいか」を選ぶ時間でもありました。

🏢 株式会社マイステック 代表取締役 石川 美菜子さん / 日立市

創業87年の製造業が、日立市初崎の高台で賑わいづくりに挑みます。父娘で大切にしてきた日立の原風景を後世へ残し、カフェを入り口に、多くの人に愛される場所や地域のランドマークをつくる構想です。一方で、飲食や発信は専門外。世界観を守りながら、地域へどう開いていくかを問いかけました。

「本当の豊かさって何だろう」

そう問いかけられる場所を、地域の人たちと一緒に育てたいと呼びかけました。

🏭 株式会社茨城テック 自立共創事業部 部長 篠原 慎一さん / 日立市

エンジニアの会社として培った強みを、就労継続支援B型の利用者の働き方にもつなげようとしています。事業所では、イラストや動画、広告などのデジタルスキルを学ぶ機会を提供。企業から仕事を受けるビジネスパートナーとしての関係をつくり、将来的な雇用にもつながる仕組みをどう実現するか。その先の働き方を、チームで考えます。

📈 コンプラス株式会社 取締役 経営戦略室長 佐藤 修一さん / 日立市

コロナ禍を乗り越えながら、ネット型や訪問型など複数の買い物支援サービスを展開してきました。その経験をいかし、誰もが自分の得意なことで商いに挑戦できる仕組みを構想しています。身近なデジタルツールを使ったショップ開設を、地域へどう広げていくかがテーマです。

🌈 株式会社ゆいまーる 代表取締役 鈴木 花奈さん / 日立市

訪問看護を通じて、育児に不安を抱える保護者や、不登校、登校しぶり、発達の特性などがある子どもとその家族に関わってきました。地域には、学校以外に安心して過ごせる場所が限られています。目指すのはフリースクールではなく、来るだけでもよく、本人のペースで人や地域とつながれる居場所。年齢や状態に応じて柔軟に受け入れる場のあり方を考えます。

🏷️ 株式会社オールウェイタッグ 代表取締役 菊池 理可子さん / 日立市

移住と転職を結ぶミッケル転職を運営してきましたが、紹介費用への負担感などから、地域企業とのつなぎ方に課題を感じています。

「今立ち止まっています」

暮らすことは働くこと。茨城暮らしを楽しんでもらうため、どうしたら人と企業がつながり地域活性化になるか。民間だからできる、フットワーク軽く柔らかい事業展開に力を貸してほしいと呼びかけました。

🌿 自然と仲良し 共同代表 椎名 可奈子さん・東海林 悠里さん / 日立市

農業の担い手不足と、子どもたちの自然・食育体験の不足を掛け合わせ、遊休農地を地域の学びや循環につなげる構想です。日立の田んぼを原風景に持つ東海林さんと、子育てを通じて食育の大切さを感じてきた椎名さん。二人の経験を持ち寄り、農地でどのような体験をつくれるかを考えます。

🏛️ 常陸太田産業振興株式会社 代表取締役 永松 裕士さん / 常陸太田市

道の駅、温浴施設、チーズ工房などを運営するなかで、個々の施設は魅力を持ちながらも、施設同士をつなぎ、磨き上げる余地があると永松さんは語りました。道の駅の賑わいづくり、温浴施設のメニュー、熟成チーズの商品化、SNS発信を、地域の人たちと一緒に考えます。

🚗 レンタカーズSEiWA 取締役 棚谷 泰之さん / 高萩市

スポーツカーやバイクのレンタカーを使い、県北地域を明るくしたいというテーマです。当日は会場参加に代えて事前収録したメッセージを寄せ、運営の大川が課題を補足しました。乗りたい車でどこへ行き、何をして、誰とどんな思い出をつくるのか。車と地域の魅力を結ぶルートや体験のアイデアを募りました。

🚀 株式会社PROUD 代表取締役 五十嵐 快さん / 高萩市

コロナ禍での失業をきっかけにクラウドファンディングへ挑戦し、ピザのキッチンカーを立ち上げた五十嵐さん。地域を回るなかで耳にした「この町には何もない」という諦めを、イベントの実践を通じて覆してきました。

次に構想したのは、一人ひとりの「やってみたい」を、相談相手や必要な情報につなぐコミュニティです。地域を知る人や、場や体験をつくる人、発信を担える人と、新しい挑戦の文化をつくろうと呼びかけました。

🎨 METEORA GRAVITY イラストレーター ハルタスクさん / 北茨城市

『茨ひより』のデザインを手がけるイラストレーターであり、北茨城市ふるさと応援大使として市のポスターなども制作するハルタスクさん。『茨ひより』を活用した地域ガイドブックと、県北最大級を目指す同人即売会を構想しています。

ワールドカフェから、10チームの結成へ

課題発表後は、cafe SALVAGEのコーヒーとLes petites mainsの焼き菓子でひと息。会場には、いつも通りまちのこ団によるあそび場も設けられました。

休憩後のワールドカフェでは、チャレンジャーが気になる県北BCPリーダーのもとを巡り、20分×3回の対話を重ねました。

チャレンジャーが向かったのは、課題発表では聞けなかった一歩踏み込んだ話や、自分が普段から関心を寄せるテーマのリーダーのもと。会場では「3組しか話を聞けないなんて」という声も上がるほど、どのテーブルも熱を帯びていました。お互いを知る時間から早くもアイデアが動き出すチームもあり、過去の県北BCPに参加した経験を持つチャレンジャーが、付箋を手際よく使いながらリーダーの思考整理を助ける場面も見られました。

続くチーミングは、この日いちばんのドキドキの時間。目当てのチームへ一直線に向かう人もいれば、最後まで迷う人や「掛け持ちで、あとから来ます!」と宣言する人も。思い思いにチームが決まっていき、最後はどのチームもちょうどよいバランスに落ち着いて、ほっとした空気が広がりました。こうして10チームが出そろいました。

その後のアイデア出しで印象的だったのは、まだアイデアの段階にもかかわらず、チームの枠を越えたコラボレーションの案が、いくつものチームから自然に上がっていたことです。初回からチーム同士で手を組もうとする動きが生まれ、これから半年への期待が高まる時間となりました。

1分の進捗発表で語られた、チームの現在地

終盤には、各チームが話し合いで何が変わり、次に何を試すのかを1分で共有しました。

🏢 株式会社マイステック

完成する前だからこそできることを話し合い、Obiのスコーンを使ったモーニングや、壁紙を貼る前の壁に子どもたちが絵を描くイベントなど、初崎を訪れるきっかけとなるアイデアが生まれました。

🏭 株式会社茨城テック

「B型就労支援からの卒業」を、最後のゴールと捉えるのか、次の働き方への最初の一歩と捉えるのか。メンバーの捉え方の違いを出し合い、まずは課題を整理するところから始めました。

📈 コンプラス株式会社

紹介する側が実際に使わなければ、人にはすすめられない。そこで、チームの5人が次回までに自分たちのショップを立ち上げ、仕組みを試すことを決めました。

🌈 株式会社ゆいまーる

子ども・保護者・地域の課題を整理し、「誰もが安心してつながれる居場所」の実現を目標に方向性を共有しました。子どもの自己肯定感や保護者の安心につながる拠点づくりと、地域資源を活用した継続的な支援の仕組みを検討。今後は先進地視察や要素分析を通して、地域の実情に合った事業モデルの構築を進めていきます。

🏷️ 株式会社オールウェイタッグ

やりたいことと事業としての収益をどう結ぶかを整理し、茨城への移住を望む人と、リモート勤務が可能な企業をつなぐプロジェクトへと方向性を具体化しました。

🌿 自然と仲良し

まずは農業に対する考えや、それぞれの人生の背景を共有。届けたい相手や体験を具体化するため、農家とのつながりを増やし、見学や農業体験から現場を知ることを決めました。

🏛️ 常陸太田産業振興株式会社

常陸太田産業振興株式会社の英語名にちなみ、チーム名を「HOIP(ホイップ)」と名付けました。道の駅の賑わいづくり、温浴施設のメニュー、チーズのブランディング、情報発信と施設間の連携について、メンバーが関心のある分野を共有。次回までに、それぞれのテーマで進める内容を整理しました

🚗 レンタカーズSEiWA

県北地域を盛り上げたいという目的を確認したうえで、サービス自体が知られていないことを課題として整理。SNSでの発信やインバウンド向けの展開を通じて、海外から訪れる人にもスポーツカーと県北地域の旅を楽しんでもらう案を考えました。

🚀 株式会社PROUD

当初のオンラインコミュニティ案をいったん手放し、高萩市に宿泊施設や子どもの遊び場をつくる構想へ方向を転換しました。ほかのチームや企業とも連携できる可能性を感じたといいます。

🎨 METEORA GRAVITY

寄せられたガイドブックのアイデアを整理し、次回までに、まずは1ページ分のデモをカタチにすることを目標にしました。同人即売会については、他県の事例を調べ、参考になる点を取り入れながら企画を磨きます。

参加した方から届いた手応え

後日、運営事務局が公開したアンケート結果には、異なる業種や世代、専門性を持つ人と、じっくり話せたことに価値を感じた声が寄せられました。

「様々な業種、世代の熱い人々と、1日でこんなに話せる集まりはそう簡単に見つかるものではないので、特に一人で仕事をすることの多いフリーランスにおすすめしたいです。」

「様々な専門の方から違う視点での意見が得られるため。」

「地域創生のヒントが詰まっている!地域に関わることで愛着が生まれる!」

「みなさんの熱量をたくさん感じ、パワーをもらえた。様々な分野の方と話せて楽しく、学びがありました。」

普段の仕事や暮らしでは出会わない人との対話が、新しい視点や地域に関わる実感につながったことが伝わります。

誰かの問いが、自分ごとに変わっていった

課題発表で、多くの県北BCPリーダーが最後に口にしたのは、力を貸してほしいという呼びかけでした。その呼びかけを受け、進捗発表で前に立ったのは、県北BCPリーダーだけではありません。誰かが持ち込んだ事業を自分ごととして語り、チームで何を考え、次に何を試すのかを発表していました。

チームでの対話は、すぐに答えを出すことだけが目的ではありません。課題をどう捉えているのか、これまでどのような経験をしてきたのかを持ち寄るところから始まったチームもありました。専門知識だけでなく、別の仕事で得た経験や、暮らしのなかで感じてきたことも、事業を考える手がかりになります。

今回、県北BCPリーダーたちが開いたのは、完成した事業ではなく、構想や課題の段階にある問いです。そこに参加者が加わったことで、初回のうちに方向を見直したり、次に試すことを決めたりするチームが生まれました。

会社を持っていなくても、自分で何かを始める予定がなくても、地域を一緒につくることはできます。県北BCPリーダーが「力を貸してほしい」と開いた問いを、立場の異なる人たちが自分ごととして考えていく。課題を持ち込む人と、経験や視点を持ち寄る人。その境界が少しずつ薄れ、県北BCPアイデアソンは、よりよい県北地域をみんなでつくる時間となっていました。

県北BCPアイデアソン、チャレンジャー募集中

7/18(土)に始まった県北BCPアイデアソンは、12月の最終報告会まで、あと5回続きます。#1に参加できなかった方も、#2以降から1回単位で参加できます。

チャレンジャーに、特別な肩書きや専門知識は必要ありません。参加費は無料で、業種や職種、年齢、住んでいる地域も問いません。気になるテーマのチームをひとつ選び、自分の経験や視点を持ち寄るところから、挑戦に加われます。

🏢 株式会社マイステック|初崎の街プロジェクト。老舗製造業による地域活性化と魅力醸成
🏭株式会社茨城テック|デジタルスキルをいかし、働き方の選択肢を広げる仕組みづくり
📈コンプラス株式会社|ITを活用したネットショップ開設支援
🌈株式会社ゆいまーる|家庭・地域・支援を結ぶ、子どものスモールステップ拠点
🏷️株式会社オールウェイタッグ|移住をキーワードとした地域定着型の転職サービス
🌿自然と仲良し|遊休農地の価値創出と食育を掛け合わせた体験型の地域循環
🏛️常陸太田産業振興株式会社|チーズ開発と誘客強化による、運営施設の収益力向上
🚗レンタカーズSEiWA|スポーツカーや旧車で県北地域の魅力を届ける体験事業
🚀株式会社PROUD|地域の「やってみたい」から生まれた、宿泊施設や子どもの遊び場の構想
🎨 METEORA GRAVITY|地域ガイドブックと同人即売会の企画

📅 県北BCPアイデアソン2026
#2|8/15(土) 13:00〜18:00(日立地区産業支援センター
チームビルディングと成長のヒント
ゲスト:合同会社Emmagination 代表社員 大川 貴世美さん

#3|9/19(土) 13:00〜18:00(日立地区産業支援センター)
チームワークとピッチ準備

#4|10/17(土) 13:00〜18:00(日立市民会館
中間発表

#5|11/21(土) 13:00〜18:00(日立地区産業支援センター)
デザイン思考とピッチ準備
ゲスト:クリエイティブディレクター 高野一樹さん

#6|12/19(土) 13:00〜18:00(NN Shibuya Crossroads
最終報告会
※中間発表・最終報告会はオンラインでも配信予定です。

🎪 子育て世代のチャレンジ、大歓迎!

当日は、まちのこ団によるあそび場も予定されています。お子さんと一緒に、ぜひ会場へお越しください!

\やるぜ、県北!みんな、集まれ!/