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「またね、ありがとう」が聞こえるまちへ。県北BCPアイデアソン2025最終報告会・チームジンボウTechが描く、日立の未来

この記事のポイント(1分で分かる)

  • 県北BCPアイデアソン2025最終報告会で発表されたチームジンボウTechの挑戦を紹介
  • ご自身の入院体験から「顔見知り」の大切さに気づき、共助アプリ「アプリでいくよ」を開発
  • リーダー:ジンボウ代表・沼田祥房さん(日立市)
  • テーマ:得意を受発注「アプリでいくよ」ユーザー新規獲得
  • 本記事の結論:チームジンボウTechは、最終報告会時点でマッチング1回という現在地を正直に語りながら、「またね、ありがとう」が交わされる共助の未来へ向けた一歩を踏み出しました

次年度の参加を検討する方へ:

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突然の体調不良で動けなくなったとき、あなたは誰か「助けて」と言える人はいますか。

一人暮らしで体調を崩したときの心細さ。離れて暮らす家族のことがふと気になる瞬間。「頼れる人が近くにいるだろうか」という問いは、多くの人にとって身近なものではないでしょうか。

県北BCPアイデアソン2025最終報告会では、まさにその不安と向き合った挑戦が発表されました。それが、チームジンボウTechです。ここからは、当日の発表内容をもとに、共助アプリ「アプリでいくよ」のねらい・現在地・次に必要な協力のかたちを整理します。


県北BCPで挑む「事業ブラッシュアップ」への挑戦

県北BCPは、県北地域の活性化を目指すコミュニティです。業種・職種・年齢・性別・国籍を超えた挑戦者が集まり、アイデアソンを通じて新規事業を構想します。半年間の伴走で、ビジネス関係人口の創出を目指すプログラムです。

茨城県県北振興局が主催し、株式会社しびっくぱわーが運営。半年間で事業構想を磨き、最終報告会で発表します。


入院体験から気づいた「顔見知り」の大切さ

チームジンボウTech リーダー 沼田祥房さんが共助アプリをつくろうと思った原点には、ふたつの風景がありました。

「何十年後かに自分もそうなるのかな」

沼田さんは最終報告会のステージで、そう語り始めました。2011年の東日本大震災以降、日立市のまちで手押し車を押す高齢者の姿が増えていったように感じたといいます。いざという時に頼れる人が近くにいるかどうかは、家族構成にかかわらず多くの人にとっての課題になりつつあります。

漠然とした不安が確信に変わったのは、沼田さん自身の入院体験でした。突然の体調不良で救急搬送され、数日間の入院生活を送ることがありました。

その際、沼田さんは身の回りのことで困る場面が何度もあったと振り返ります。病室を見渡せば、入院しているのは高齢者だけではなく若い世代もいた。「1人暮らしの単身世帯では、いざという時に困りごとが生まれやすい」ことを痛感したといいます。支えになってくれたのは、身近にいた顔見知りの存在でした。


「顔の見える安心」をひとつのアプリに

この気づきから構想されたのが、共助アプリ「アプリでいくよ」です。沼田さんは設計思想として、「効率」よりも「顔見知りの関係をつくる」ことを重視していると説明しました。

「アプリでいくよ」の想定(発表時点)

  • 利用者:買い物代行など、地域の困りごとを近隣の人に依頼できる
  • ワーカー:顔写真や特技を登録し、空き時間で仕事を受けられる
  • 地域のお店:アプリ内に掲載し、顔の見える関係で地域とのつながりをつくれる

沼田さんの発表によれば、「アプリでいくよ」はこれら3つの立場をひとつのプラットフォームに統合しています。

収益モデルは1件ごとのシステム利用料を利用者側が負担するかたちをとっているといいます。匿名のレビューや価格競争ではなく、「顔が見える」ことが信頼の起点になるよう設計されています。

ワーカーが担うのは、体調不良時の買い物代行や話し相手、ちょっとした日常の軽作業などです。医療・介護といった専門資格を必要としない範囲を想定しています。沼田さんは「資格がなくても働ける仕事もたくさんある」と語りました。そうした業務の範囲で小さく始められ、地域の人と顔見知りになれることが「アプリでいくよ」ならではの特長だと説明しています。

※本セクションのサービス仕様は、最終報告会での発表時点(2025年12月)の内容です。今後変更となる可能性があります。


マッチングはまだ1回だが、「かけがえのない1回」

ピッチの中で沼田さんは、会場に向かってこう切り出しました。

「実は、マッチング回数はまだたったの1回です」

最終報告会(2025年12月20日)時点での正直な数字でした。一方で沼田さんは続けます。このたった1回のマッチングは「かけがえのない1回」だと。

数字だけを見れば、1回は小さく見えるかもしれません。しかし発表の中で、1回のマッチングが当事者にとって確かな意味を持ったと語られました。0→1を生み出すことの重みを、沼田さんは知っています。


「伝えるのが苦手」を越えて、チームに支えられた半年間

アプリの構想を「絵空事にしない」ために、沼田さんが選んだのは県北BCPアイデアソンへの参加でした。

壁打ちから始まり、方向性の確認、チラシの作成、中間プレゼン、そしてアプリの実証と部分改善へと進みました。発表では、計画どおりに進まない局面もあったと語られました。それでも着実に前進し、沼田さんは半年間のプロセスを「絵空事にならないための修行だった」と振り返りました。

沼田さんは自分のことを「伝えるのが苦手」だと語りました。プレゼンテーションもコミュニケーションも、得意分野ではないと。

「自分の弱いところは伝える力」。だからこそ、チームメンバーのサポートが欠かせなかったといいます。「そのおかげで、こういう場所に立てた」と、感謝の言葉で発表を締めくくりました。

助けてもらう側の気持ちを知っているからこそ、「助け合い」のアプリをつくれるのだと感じさせます。沼田さんの等身大の姿が、共助アプリ「アプリでいくよ」の思想を体現していました。


共助の未来のために

言葉は与えることも、受け取ることもできます。「買い物をお願いできますか」「いくよ」。そんな何気ないやりとりが、地域の中に積み重なっていく。「アプリでいくよ」が届けたいのは、作業の代行ではなく、作業を通じて交わされる「言葉」の総量を増やすことでした。

「頼れる人がすぐにいる社会をつくってまいります」

まだ力が足りない部分は、「皆さんに手伝っていただくこと」だと沼田さんは正直に語りました。完成品を披露したのではなく、「ここから一緒につくっていきたい」という、開かれた挑戦の宣言でした。

「またね、ありがとうの共助の未来のために」

8分間のピッチは、今後の協力を呼びかける言葉で締めくくられました。


まとめ

「挑戦」という言葉は、一人では重すぎても、チームなら軽くなります。

発表で繰り返し語られたのは、「言葉」と「顔見知り」でした。最終報告会時点でマッチングはまだ1回。それでもたった1回のマッチングの中に、「またね」「ありがとう」という言葉が確かに交わされています。

この記事の要点3つ

  • 原体験からの出発:入院中に「顔見知り」の価値に気づいた経験が、共助アプリ「アプリでいくよ」の原点
  • 未完成の肯定:マッチング1回という現在地を正直に語り、0→1を生み出したプロセスに価値がある
  • 言葉が育てる関係:効率ではなく「またね」「ありがとう」が交わされる関係性を、アプリで設計する

この記事の核心は、地域でも、未完成でも、挑戦は始められるという希望です。

日立・チームジンボウTechの共助アプリ「アプリでいくよ」に、「顔見知り」という新たな彩りが加わる。完璧なサービスを待つのではなく、まず「顔見知り」をひとり増やすことが出発点です。


次の一歩へ

この記事を読んで、心に小さな灯がともったなら。その灯を消さないうちに、次の「小さな一歩」を踏み出してみませんか。

あなたに合う入口から選んでください:

応募しなくても、参加しなくてもいい。「こういう挑戦のかたちもある」と知ること自体が、次の一歩になるかもしれません。

あなたのペースで、あなたらしい挑戦を、どう育てていきますか。


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