スクール受講生特集 vol.1|松井 洋介さん【茨城県知事賞受賞】
12/17(日)に開催した県北Business Start Schoolの集大成「最終プレゼンテーション」で、茨城県知事賞を受賞された松井 洋介さんをご紹介します。
このスクール受講生特集では、最終プレゼンテーションに登壇した10名のスクール受講生の活動実績を、おひとりずつ紹介します。今回は、茨城県知事賞を受賞された松井 洋介さんによる『茨城県初。国産生ハム協会公認「長期熟成生ハム作り」の挑戦。』です。
*12/17(日)最終プレゼンテーションの様子については、こちらの記事をご覧ください。
僕は、高校を卒業後、和食の板前になりました。目標が世界を股にかける実業家になることだったので、日本人が何を世界に売れるのかを考えた時に和食だと思い、板前になりました。
人間万事塞翁が馬
20年近くうまくいっていました。2022年の11月に、バンコクとの2拠点で活動するためビザも取って、バンコクの中心部のタワーマンションも契約して、帰ってきたところでこうなります。全部なくなってしまいました。
飛行機代どころか今月の家賃も払えない状態に陥りました。ただ、僕はこのように考えています。「人間万事塞翁が馬」何年後かにこの時のことが良かったと思えるように、これを機に自分の商材を作ろうと思いました。
世界で戦える「茨城産豚肉」の可能性
世界で戦える自分の商材を考えている時に見つかったのが、茨城県北地域おこし協力隊【起業・複業型】のKENPOKU PROJECT E(以下、PROJECT E)でした。茨城県の県北地域の資源を使って世界で戦える商材を一生懸命考えました。雄大な自然と農産物、畜産物。それで戦えるのは何なのか。たどり着いたのが生ハムです。
県北には美味しい水と空気があります。茨城県の豚肉の生産量は日本第3位です。生ハムを作って販売できるようになるためには、3年間の販売研修期間が必要ですが、これもPROJECT Eの任期が3年間あるため、クリアできます。実は、日本の生ハムはウイスキー・ワインに続く世界に認められたクオリティの高い商品に、もうすでになっています。
日本の生ハムはヨーロッパのレストランでも使われているのですが、皆さん知らないですよね。供給が足りていません。なんと、日本には50人くらいしか作っている人がいません!これはチャンスだと思いました。50人!まだファーストペンギンになれるなと思いました。そこで、ちょっと年齢が厳しいかもしれないですが「生ハム王子に俺はなる!」をテーマに、PROJECT Eに応募しました。
世界品質の生ハムとは?
PROJECT Eに受かることができ、9月から研修に移りました。この右側に映っているのは、研修でお世話になっている株式会社総左衛門の社長さんです。
生ハムの話を少しさせていただきます。スーパーで売っている国産の生ハムと、これから僕が作ろうとしてる生ハムは何が違うかを説明します。スーパーで売っているのはラックスハムです。裏の表示を見てみてください。防布剤がいっぱいです。あまり悪く言いたくないですが、12週間で作るためにそういう風になっています。僕が作ろうとしてるのはヨーロッパで販売されている生ハムと一緒で、食塩のみで作られている生ハムです。審査員の方には試食があるので、是非食べていただきたいです。食べればわかります。月とすっぽん…要するに空の衛星と亀ぐらい違います。それぐらい違うものです。
研修先で教えていただいたことは、一頭買いがポイントということです。一頭買いが高品質で低価格仕入れの肝です。生ハムで使われるのは「もも肉」のところだけです。
生ハムで使われる「もも肉」以外の部分を消費しないと一頭買いはできませんので、ソーセージやベーコン、サラミ、カレー、ミートボール、とんかつなど、色々なものにして売ることができると一頭買いができます。
捨てられてしまう部位の肉でカレーを。一頭買いだからこその持続可能な仕組み
株式会社総左衛門の社長さんは、実は千葉ではすごい人で、高級レストランなどに卸しています。先日、成田空港に行った時に販売会があり「松井くん、JALとANAのファーストクラス・ビジネスクラスでソーセージを使ってもらえることに決まったのよ」と。「えっ!すごいじゃないですか!ファーストクラスやビジネスクラスに出したら、ECサイトなんてもう売上困んないですよ!」と言ったら、社長は「そうなの?」と。「いや、そりゃそうですよ。ファーストクラスで使用なんて言ったら、売れるに決まってるじゃないですか!」と僕が言うと、ちょっと目の色が変わりました。JALとANAの両方に言われたのが「SDGsでなんかやって欲しい」ということだったらしいです。「SDGsと言ったら、うちで今カレー売ってるよね」と。株式会社総左衛門のカレーには「スジ肉」という一般的には捨てられてしまうことが多い部位の肉を使っているので、これがSDGsになります。そこで「松井くん、なんか一緒にやろうよ」と言われました。僕は3年後に店をオープンしようと思っていて、茨城県で何を売ろうか考えているところでした。茨城県のホームページを見ていたら、ガパオライスを茨城県として売り出しているということを知り「いばらきガパオを3年後にやりましょう」と言ったら、社長に言われました。
「3年後じゃなくて、松井くん、明日やったっていいのよ」
生ハムを作って販売できるようになるための「実務経験3年の研修」の意味は何なんだ?という話ですが「松井くんが研修の時に作っている商品は宗左衛門の商品なのだから、松井くんに商品を仕入れてもらって、仕入れた商品を松井くんのお店で販売するという方法なら問題はないのよ」と言うのです。OEMです。「なるほど!社長、一緒にやりましょう」ということで、茨城県県北振興局の武藤さんに場所をご紹介いただきました。「すぐにやりたいです」と武藤さんに紹介していただいたのが、道の駅さとみです。
挑戦の舞台は常陸太田市、道の駅さとみ
道の駅さとみには、人はたくさん来ます。ただ、駅長がご高齢で後継者を探しているということで、空いてる部分を借りて2024年4月1日オープン予定です。ガパオライスやお土産にできそうなものを冷凍食品で販売する予定です。OEMで株式会社総左衛門から商品を仕入れる形なので、シールを貼って道の駅さとみブランドで販売する予定です。モーニングの時間帯もオープンして、地域の方ともしっかり交流をしていきながら、長期熟成の生ハムは10年後を見据えてじっくりとやっていきます。
短期収益化は道の駅さとみでガッツリとやって、3年後にPROJECT Eの任期が終わった後もガッツリいきたいと思います。内装も決まっています。外装もDIYでPROJECT Eの卒業生から安く作っていただきました。家賃は安い金額で借りられます。SDGsで高利益生ハム体験も3年後に実施します。観光スポットになって、体験王国の仲間入りをします!茨城県知事賞を受賞して、ガパオライスを販売していきます!
県北BSS最終プレゼンテーション受賞者が登壇します!
県北地域のネットワークをさらに広げるためのイベント『県北BCPセミナー編vol.6「新規事業開発と新規起業が生み出す県北イノベーション」』にて、茨城県知事賞を受賞された松井さんと優秀賞を受賞された齋藤さんがピッチを行います。
キーノートでは株式会社imaの三浦 亜美さんをお招きし「新規事業開発や新規起業におけるコラボレーションの重要性」についてお話しいただきます。合同ピッチでは、県北BCPアイデアソン最終報告会受賞者と県北BSS最終プレゼンテーション受賞者からのピッチを実施し、県北地域でスタートした新しい取り組みについてお話しいただきます。イベントの最後には交流会を実施し、県北地域での広いつながりとコラボレーションを生み出す機会をつくります。
県北地域の活動に少しでも興味のある方は、新たなつながりとアイデアを求めて、ぜひご参加ください!
詳しくはこちらをチェック!!